左から小田嶋さん、清野さん,岡さんのバックショット。こうやって思い出の町をぷらぷら歩き、語り合ったお話が『人生の諸問題 五十路越え』には山盛りです。
左から小田嶋さん、清野さん,岡さんのバックショット。こうやって思い出の町をぷらぷら歩き、語り合ったお話が『人生の諸問題 五十路越え』には山盛りです。
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:昔、京都大学に伝説のクオーターバックがいたの。その人は京大に3番で入って2番で出た、みたいな優秀な学生で、高校時代は陸上でも目立っていた。極めて論理的で能力が高い、素晴らしい選手だったんだけど、問題はハドル(=アメフトの試合中、グラウンドで行われる作戦会議)の時に、彼が何を言っているのか分からない、ということで(笑)。

小田嶋:医者の世界においても、ちゃんと説明ができない医者って、そこそこいるよね(笑)。最近の医者は、インフォームドコンセントの浸透で、ちゃんと説明するようにはなっていますけど、やっぱり聞いていると、文脈を飛ばして話していることが多いから、いちいち「今のご説明は、何を踏まえてのことなのでしょうか」と、こちらが手順を踏んでおかないといけない。

:僕たち文系は、分かっていなくても説明できちゃうんだけどね。

 そこは大きな問題です。

小田嶋:ほら、大学の先生とかでも、まったく対人関係はできないけど研究はできた、という人が昔は普通にいたでしょう。

 太平洋戦争の時に、日本が戦争をしていることを知らないで研究に没頭していた、という学者の話を聞いたことがあります。

小田嶋:研究職のうちの半分ぐらいは、今だったら病名が付く感じの人がいたわけだけど、きょうびの研究者は、実は研究をしながら、ちゃんと文部科学省と話ができて、なおかついろいろな会議でちゃんと調整ができて、金を引っ張ることもできて、と他にもいろいろな能力が求められるわけだよ。

 はい、それで、そろそろ〆に持っていきたいのですが。

:うん、だから、困った時代になったもんだよね。でも一方で、こんなふうに地道に続けてきた連載が本にまとまって、読んでいただけるという喜びも五十路を超えるとあったりする。

小田嶋:意識の高いハウツーの類は一切ないけれど、「あるある」話はきっと多いよね。

:この本、小石川高校の同級生は買うと思うんだよ。あいつらは暇になっているでしょう。

編集Y:弊社からのお願いです。同窓会で激しく売り込んでください。

■五十路を越えて「敗者復活」

:でも、俺と小田嶋が一緒にこの前の同窓会に出た時、スピーチの時に、負け組……じゃないな。何だっけ。

小田嶋:何とか組と言われたんだよね。

:起死回生組……じゃないや、何と言ったっけな(笑)。

小田嶋:リベンジじゃないし。

:リベンジじゃない、何かそういうやじが飛んでいたよね。

小田嶋:敗者復活。

:そう、「敗者復活組」と言われているんだよ。でも、言っておくけど、俺は負けた覚えはないぞ。

小田嶋:まあ雌伏はしていたけどね。

 雌伏というのは、なかなか便利な言い回しですね。

小田嶋:雌伏をした後、この連載や日経ビジネスのおかげで、いろいろ書けるようになりました、ということは少しは考えなきゃいかんと思っています。

編集Y:私にしても、出世はできなかったけど、こんなリッチな連載や面白い本に関われて、五十路も悪くない気がしてきました。

小田嶋:だから、五十路の諸問題で悩まれている方は、書店でこの本を手に取って、ぜひそのままレジに直行されることをおススメしておきたいですね。

 最後に小田嶋さん、かなり無理やりな〆を、ありがとうございます。

小田嶋隆×岡康道×清野由美のゆるっと鼎談
「人生の諸問題」、ついに弊社から初の書籍化です!

 「最近も、『よっ、若手』って言われたんだけど、俺、もう60なんだよね……」
 「人間ってさ、50歳を越えたらもう、『半分うつ』だと思った方がいいんだよ」

 「令和」の時代に、「昭和」生まれのおじさんたちがなんとなく抱える「置き去り」感。キャリアを重ね、成功も失敗もしてきた自分の大切な人生が、「実はたいしたことがなかった」と思えたり、「将来になにか支えが欲しい」と、痛切に思う。

 でも、焦ってはいけません。
 不安の正体は何なのか、それを知ることが先決です。
 それには、気心の知れた友人と対話することが一番。

 「ア・ピース・オブ・警句」連載中の人気コラムニスト、小田嶋隆。電通を飛び出して広告クリエイティブ企画会社「TUGBOAT(タグボート)」を作ったクリエイティブディレクター、岡康道。二人は高校の同級生です。

 同じ時代を過ごし、人生にとって最も苦しい「五十路」を越えてきた人生の達人二人と、切れ者女子ジャーナリスト、清野由美による愛のツッコミ。三人の会話は、懐かしのテレビ番組や音楽、学生時代のおバカな思い出などを切り口に、いつの間にか人生の諸問題の深淵に迫ります。絵本『築地市場』で第63回産経児童出版文化賞大賞を受賞した、モリナガ・ヨウ氏のイラストも楽しい。

 眠れない夜に。
 めんどうな本を読みたくない時に。
 なんとなく人寂しさを感じた時に。

 この本をどこからでも開いてください。自分も4人目の参加者としてクスクス笑ううちに「五十代をしなやかに乗り越えて、六十代を迎える」コツが、問わず語りに見えてきます。

 あなたと越えたい、五十路越え。
 五十路真っ最中の担当編集Yが自信を持ってお送りいたします。

この記事はシリーズ「人生の諸問題 令和リターンズ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。