■男も女も、人間に「猿山」あり

編集Y:男性は会社しか「猿山」がないのに、女性にはいっぱい猿山があって、自在に出し入れができるみたいな感じなんですかね。

小田嶋:男の方がわりと座標軸がシンプルなんですよ。だから、会社の中の評価軸があやふやになってくる50代はキツい。

:だって、ママ友はいても、パパ友なんて聞かないでしょう。

編集Y:いえ、私、パパ友いますよ。息子同士が中学校の親友で、そのお父さんと仲良くなりました。

小田嶋:ありゃ。

編集Y:で、一緒にゴジラ映画とか見に行ってます。

小田嶋:ああ、それは「パパ友」ではなく、いわゆる「オタ友」というやつですね。

編集Y:あ、そっちだったのか、俺。

 猿のオスも、猿山の序列から離れると、ひとりぽつねんとしていますよね。ヒトのオスも、入院で社会的な鎧がなくなると、より猿山の原点に返っていくのでしょうか。

(イラスト:モリナガ・ヨウ)
(イラスト:モリナガ・ヨウ)

小田嶋:人のオスはグルーミング(毛づくろい)とかとも無縁だよね。そもそも俺自身、グルーミングのような、マッサージのような、ああいうの、ダメなの。

:僕もオイルマッサージとか、鍼とか、だめ。

小田嶋:病気に効く、ということで受けてみたとしても、途中で気持ち悪くなって。俺、だいたい肩って凝らないから。

:マッサージの人に言わせると、「岡さん、背中も肩も、ぱんぱんに張ってますよ」ってことなんだけど、僕も自覚がない。だから関係ないよ、いいんだよ、ということにしている。

小田嶋:俺、人生で1度だけ肩が凝ったことがあるのは、高校の時に陸上部の大会で400メートルを走った時。そうか、これが「凝り」というものなのか、というのがあった。

:おまえ、陸上で400メートルなんて練習、していたっけ?

小田嶋:いや、走ったことがないのに大会に出たの。

:何だよ、それは。

小田嶋:先輩に「どうやって走ったらいいですか?」と聞いたら、「とにかく最初から思い切り行って、最後に力尽きるようにしろ。それがおまえの一番いいタイムだ」ということで、「本当かな?」とは思ったんだけど、そのまま200メートルまで思いっ切り、すごくいいタイムで走ったはずだったんだよ。で、後半、あと200メートルを行けるか、と思っていたら。

:行けないよ、それは。

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