強さの根源に「組織の哲学」がある

ソスナ氏(以下、ソスナ):私は、IESEビジネススクールで大人の学び方を開発するR&Dチームのディレクターを務めています。学ぶ組織をいかにつくるかは、私が注目している問いの1つです。

 私はドイツ出身ですが、ここの人々はとてもオープンです。それは世代から世代へ受け継がれているシステムによる影響だとも感じています。

 バルサでサッカーをする人は、子どもの頃から、このシステムに参画して、プレー上でも、ほかの面でも、システムを理解した振る舞いをしています。

中竹:システムと文化のバランスについてはどう考えますか。組織は、ビジョンやミッションを掲げてシステムを成り立たせ、それを文化にしていきます。

 ただ、そこには地域に根づいた歴史的な文化が既にあって、システムと対立することも考えられます。カタルーニャにも、歴史的な文化があるのですが、それがバルサの文化とぶつかったりはしないのでしょうか。

リアド:うまく混交していると思っています。そもそもバルサの文化は外部から受け入れたものです。バルサは、1970年代にクライフやリヌス・ミケルスといったオランダ出身の選手によって強化され、躍進しましたから。

 当時は「なぜ外部の人間に頼らねばならないのか」という人々もいました。

 けれどバルサは彼らから学ぼうという「オープン・イノベーション」に懸けたのです。そうやって選手やクラブが学び合いの時間を持ち、新しい文化が生まれ、何年もかけて、ここまで広まっていったのです。

 もちろん、文化を変えるのは簡単なことではありません。

 例えば私たちは、組織の会長を決めるのに4年ごとに選挙を実施しています。新しいリーダーが新しい考えを提示する機会をつくり、組織が挑戦し続けるために、です。

 ただトップひとりの意向で文化が変わっては困ります。やはりそこは組織の核である「ラ・マシアの精神」が必要で、それはどんなにトップが交代しても不変のものとしてあり続けねばなりません。そのためにも、私たちは外部から学び続けなくてはならないのです。

ソスナ:バルサは外から見ると信じられないほど、チームも、システムも、進化し続けています。そして正しい構造になっているからこそ、進化することができる。教育的な観点から見ても非常に優れたシステムだと思います。

 バルサのチームとしての強さの根源は、「組織の哲学」にあるのです。

(8回目は2019年9月12日掲載予定)