ラグビー「オールブラックス」を救った学ぶ姿勢

躊躇(ちゅうちょ)なく外部から学ぶ。いいものは取り入れる。そうしたほうがいいと分かっていても、なかなか実践できない態度です。

中竹:そのためには謙虚さが必要ですよね。1つ、別の例を出しましょう。バルサと似たような存在として語られるのが、ラグビーのニュージーランド代表「オールブラックス」です。

 世界のラグビー界で圧倒的な強さを誇り、第1回ワールドカップでは当然のごとく優勝。しかしその後の彼らは、なぜか20年間もワールドカップで優勝できなかった。世界ランキングはずっと1位であるにもかかわらず、です。

 立て直しに乗り出したのが、いろいろな国で監督をやってきたグラハム・ヘンリーという長老でした。彼はオールブラックスの弱点をズバリと指摘しました。

 国民の英雄であり、男らしさや完璧さの象徴とされていたチームは、実はあまりに大きなプレッシャーに押しつぶされていて、誰もプレーをすることによろこびを感じていなかった。

 オールブラックスの弱点はメンタルであると喝破した彼は、世界一のチームにあえてメンタルコーチをつけて、精神面を徹底的に鍛え上げていきました。メンタルタフネスを手に入れたオールブラックスは、ワールドカップでも連勝街道を走っています。

 世界一といわれる彼らでさえ、外からの目がなければ、自分たちの問題に気づくことができなかった。そして気づいたら、全力で外部からの言葉を受け入れて、実践する。謙虚に学ぶ姿勢が、オールブラックスをよみがえらせたのです。

カルチャーを醸成するには時間がかかる。それは承知の上で、ビジネスパーソンが自分の属する組織でカルチャーを築くには、まず何をすればいいでしょう。バルサの教えをどう応用すればいいのでしょう、

中竹:立場によっても変わってくるでしょうね。

 経営者なら、そもそも自社をどんな文化にしたいか、できるだけ明確に考えるべきでしょう。そして、そのイメージをはっきりと打ち出すのが役目です。これはぜひ取り組むべき課題です。

 中間管理職の立場で、トップが打ち出した文化の方向性がすでにある状況なら、そこに向けてどんどんと意見をぶつけるべきでしょう。文化は与えられるものではない、自分たちでつくるものだという意識をしっかりと持たなければ。

 仮に、上層部に文化を考えるそぶりがないなら、諦めずにまずは自分のチームで文化づくりを進めてみること。文化を変えて成果を上げれば、きっとその文化が組織に徐々に浸透していきます。

 従業員の場合は、自分がどういう生き方をしたいか、何にワクワクするのかをよく考え、それを組織の中で貫いて行動することを心がけましょう。自分でコントロールできる範囲で、まずは文化を築くことをしてみるのです。

 それに共感してくれる人が少しでもいたら、文化の輪が広がっていくはずです。一歩ずつでも文化をつくっていけそうな手応えが感じられたなら、いまいる自分の環境はそんなに悪いものではない、という気づきにもつながるはずです。

(7回目は2019年9月5日掲載予定)