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「らしさ」を体現できるプレーできているか

中竹:おもしろいのは、彼らはFCバルセロナを一人の人格とみなしているところです。そして、クラブの存在に自分を投影したり、元気をもらったりしている。

 バルサがバルサらしく振る舞っていれば、つまり攻撃的なサッカーを見せて勝利すれば、我がことのようによろこび、そうでなければ批判もします。

 彼らにとっては、「らしさ」が重要なのです。

 では、そのバルサらしさとはどこにあるのか。それは「楽しんでいるかどうか」です。プレーヤーがサッカーを楽しんでいるように見えなければ、たとえ試合結果が勝利に終わっても納得はしません。

 恐らく彼らはバルサのゲームに、「人生を楽しんでいるかどうか」ということまで投影しているのでしょうね。

 かつて侵攻されてアイデンティティーを奪われた時代があり、自分らしく振る舞おうとしてもできなかった経験があった。そういった歴史と関連しているのかもしれません。

 だから、たとえゲームに勝利しても、楽しんでいなければその結果を称賛するわけにはいかないという価値観がある。勝ちにこだわる以前に、自分たちが目指すトータル・フットボールを体現できているかに、とことんこだわるわけです。

それがFCバルセロナのFCバルセロナたるゆえんだとすれば、ほかのサッカークラブがおいそれとまねするというのは、無理な相談のようにも思えます。例えばJリーグのどこかのクラブが「バルサ化」を目指しても、一朝一夕には実現できそうに思えません。

中竹:やはりある程度の時間は必要になるでしょう。コミットメント型文化を本気で築いていけば、バルサ化は夢でないと思いますし、チャレンジしがいのあることだと思いますよ。