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人間の怒りや悲しみが分かるAI(人工知能)は、「ドラえもん」のようなパートナーロボットの誕生につながるのだろうか? 米マサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ、アフェクティバが開発した感情認識AIがビジネスの現場で活躍し始めている。エジプト出身の女性CEO(最高経営責任者)が率いる同社が開発するAIは、ビジネスの常識を変える大きな可能性を秘める。

日経BPから刊行した10年後のGAFAを探せ 世界を変える100社』で取り上げた多様なイノベーションを生み出すベンチャーを紹介する本連載の3回目では、感情認識AIで脚光を浴びる米アフェクティバを取り上げる。

 AI(人工知能)とロボットという言葉を聞いて、多くの日本人が思い浮かべるのは、やはり「ドラえもん」だろう。勉強が苦手、運動音痴で、おっちょこちょいの男の子、のび太君のために、22世紀の未来からやってきたネコ型ロボットは、ユニークな秘密道具を駆使して、様々な手助けをしてくれる。

 だが、ドラえもんの魅力は、多様な未来のテクノロジーを満載した秘密道具を次々に出してくれることだけにあるのではない。むしろのび太君の気持ちを理解し、一緒に「泣いたり」「笑ったり」「怒ったり」する、極めて人間的な感情を持っている点が大きいと筆者は考えている。

 映画「スターウォーズ」シリーズに登場する「C-3PO(シースリーピーオー)」や「R2-D2(アールツーディーツー)」も人間の感情を理解するロボットだ。C-3POは言葉を話すこともできるが、機械的な音声で、「ロボット感」は否めない。R2-D2も人間の言葉を理解できるが、話す言葉は電子音による機械語に限られる。

 これに対して、ドラえもんは人間と同じように普通の言葉で話し、食卓を共に囲み、押し入れに寝泊まりして、完全に家族の一員として生活する。のび太君と一緒になって、泣いたり、喜んだり、怒ったり、すねたりする感情的な性格は極めて人間的だ。

 だからこそ、ドラえもんの漫画を読んだり、アニメを見たりした人も、作品に対して、より感情移入しやすくなるのだろう。

 高性能なパートナーロボットを実現するカギとなるのが、人間の感情理解だ。AIが、共に暮らす人間が今どのような気持ちでいるかを理解して、それに応じたコミュニケーションが取れるようになれば、ドラえもんのようなロボットを実現できる可能性が高まる。

 怒り、悲しみ、喜び……。人間の表情や声のトーンなどの変化を捉えて感情を分析するAI(人工知能)を開発する企業が米ボストンにある。米マサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ、アフェクティバだ。