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金融から医薬品、航空機にまで顧客が拡大

 カープ氏が執筆したとされる論文には「オントロジー的思考の社会的機能」という一節があり、こうした研究がダイナミック・オントロジー技術を使うゴッサムなどのパランティアの製品開発に影響を与えていると見るのが自然だろう。

 パランティアは創業当初は資金集めに苦労したものの、CIAのベンチャーキャピタルと、ティール氏自身が率いるベンチャーキャピタルから資金を調達し、事業を本格化させた。

 2009年に中国を拠点とするサイバースパイネットワークの「ゴーストネット」の調査で、パランティアのソフトウエア技術が活躍し、注目を浴びるようになる。インターネットの普及を背景にしたサイバー戦争やサイバー捜査の重要性を認識した米政府の様々な機関に加えて、民間企業の顧客も獲得するようになった。

 金融情報大手の米トムソン・ロイターやドイツの医薬品大手のメルクと提携。EU(欧州連合)の航空機メーカー、エアバスも顧客になっている。パランティアの不正検知などのノウハウは世界的な企業に高く評価されている。

 さらに18年11月、パランティアはメルクと組み、がんを研究するための技術プラットフォームを提供するSyntropyという合弁会社も設立すると発表。ビッグデータ解析のノウハウをより広い分野に適用する動きを加速している。

 18年秋には「パランティアが19年に新規株式公開を予定している」と米メディアが報じた。それまで200億ドル(約2兆2000億円)とされてきた評価額は、公開時期によっては、最大410億ドル(約4兆5000億円)に達する可能性があるという。

 19年5月にはパランティアの上場は20年に延期になったと報じられたが、準備は進んでいるとみられる。秘密主義で知られたデータ解析の巨人は、いよいよベールを脱ごうとしている。

■変更履歴
記事掲載当初、アレックス・カープ氏をハーバード大学卒業としておりましたが、誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2019/07/30 10:58]

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  • 「人間のように思考・学習するロボット」 ヴィカリアス

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