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米アマゾン・ドット・コムCEOのジェフ・ベゾス氏が創業した宇宙ベンチャー、ブルー・オリジンが勢いを増している。宇宙旅行サービスから衛星打ち上げ、さらに月着陸まで視野に入れている。宇宙開発の歴史を塗り替える可能性を秘めた同社の戦略の特徴はどこにあるのか。

日経BPから刊行した10年後のGAFAを探せ 世界を変える100社』で取り上げた多様なイノベーションを生み出すベンチャーを紹介する本連載の1回目では、ベゾス氏が率いるブルー・オリジンを取り上げる。

 米テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が率いるスペースXの陰に隠れて目立たなかった宇宙ベンチャーが脚光を浴びている。米アマゾン・ドット・コムのCEO、ジェフ・ベゾス氏が創業したブルー・オリジンだ。

 「スペース・コロニーを建設して、宇宙植民を実現させたい」。2019年5月、ベゾス氏は記者会見を開いて、こう強調した。

 開発中の月着陸船「ブルー・ムーン」の模型を公開。宇宙飛行士だけでなく、一度に最大4台の月面探査車を送ることができる。6.5トンという大量の貨物も運搬できる性能を持つ。

月着陸船「ブルー・ムーン」を発表するジェフ・ベゾス氏

 トランプ大統領が発表した「24年までに米国の宇宙飛行士を再び月に送る」というプロジェクト。そこで使われる宇宙船の候補にブルー・ムーンは名乗りを上げた。

 大言壮語にも聞こえかねない宇宙植民計画。だが、ベゾス氏は目標に向けた技術開発を着実に進めている。月着陸船に使うブルー・オリジンが独自開発するエンジン「BE-7」の燃焼試験を19年6月下旬に開始。米アラバマ州にある米港宇宙局(NASA)のマーシャル宇宙飛行センターで実施した試験の動画を公開した。

 ベゾス氏は長期的なプランを練り、段階を踏んで宇宙開発を高度化させている。あまり知られていないが、ベゾス氏がブルー・オリジンを創業したのは2000年でアマゾン創業のわずか6年後だ。ブルー・オリジンは既に20年近く宇宙開発に取り組んでいる。

 幼少期からベゾス氏は宇宙に強い関心を持ち、18歳時点で「宇宙でホテルや遊園地、コロニーを建設したい」と語っていた。宇宙開発はベゾス氏の変わらぬ夢で、単なる思い付きではなく、人生をかけて取り組むテーマといえそうだ。