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基本は前方展開戦略

メア氏:確かにトランプ氏の支持者は内向きな人が多く、「なぜアメリカが外国の問題に関わるのか」と批判します。極東だけでなく、中東やNATOに対しても、同様です。そうした意識が広がっていることは無視できません。

 とはいえ、アメリカの第2次世界大戦後の戦略は、基本的には前方展開戦略なのです。アジアでも前方展開戦略を続けるのだったら、在日米軍基地しかない。韓国も重要な基地ですが、それはどちらかと言えば、韓国を防衛するためにあります。これに対して、日本にある米軍基地は日本の防衛のためだけではなく、この地域の安定を維持するために存在します。それは日米の安全保障条約第6条にもはっきり書いてあることです。

 それに米軍は、アメリカにいるよりも日本にいる方が費用がかからないのです。従業員の費用や水道光熱費などを日本が負担するわけですから。

山川:いずれにせよ、東アジアの安全保障を考えるうえでも、トランプ大統領が選挙に負けてあと1年で終わるのか、あと5年やるのかは大きいですね。

 仮に選挙で民主党政権に代わった場合には、在日米軍の問題はどうなりますか。

メア氏:民主党政権も、日本との関係を重視している人がほとんどです。歴史を振り返っても、アメリカの日本に対する政策は長い間、超党派で決めてきました。共和党になっても民主党になっても、あまり変わらないでしょう。

西野:民主党の有力候補の意見を聞いていると、だいぶ内向きに見えます。日米同盟などが軽視されることはありませんか。

メア氏:ないです。有力候補であるバイデン氏はオバマ政権時代の副大統領で、基本的に日本との関係を重視しています。

山川:ただ、中国と近いですよね。

メア氏:そうではないと思います。トランプ氏は表面上、中国に厳しく接しているように見えますが、こけおどしが多い。北朝鮮に対してもそうです。

 私は、政治的には民主党でも共和党でもなく、中立の立場です。そしてトランプ氏の中国や北朝鮮に対する外交を最初は評価していました。しかし、実際にはすぐに譲ってしまう。最初はうまく軍事的な圧力と経済制裁を使っていました。しかし、2018年6月にシンガポールで金正恩(キム・ジョンウン)氏と会ったら「恋に落ちた」と言い出しました。しかし、明らかに片思いでしょう(笑)。

山川:最近はまた金正恩氏のことを「ロケットマン」と呼んでいます。米朝関係は結局、元に戻ってしまった感がある。

メア氏:いや、元に戻ったどころか、北朝鮮はこの2年間で核ミサイルのプログラムを進めました。一方で、米韓は本格的な訓練ができていない。明らかに元よりも悪化しています。私は年末か来年初めには、再び差し迫った状態になると思っています。

山川:確かに北朝鮮ではミサイル実験場を再開するような不穏な動きも見られます。この件についてもまた、メアさんのお話をいずれ聞かせてください。

西野:ぜひ、また来てください。どうもありがとうございました。

(注:この記事の一部は、BSテレ東「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の番組放送中のコメントなどを入れて、加筆修正しています)