テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第22回のテーマは、強まる在韓米軍撤退論「日本への影響は?」。土壇場でGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の維持を決めた韓国だが、相変わらず日米との不協和音が聞こえてくる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近からは「韓国は中国の『核の傘』に」という発言まで飛び出した。
強まる在韓米軍の撤退・縮小論について、ケビン・メア元アメリカ国務省日本部長は「可能性は低い」と一蹴。「東アジアの安全保障は超党派で議論しており、大統領の一存では決まらない」と説く。
ただ、文政権下で米韓合同軍事演習が不足し、実質的に在韓米軍の機能が低下していることを懸念。「これ以上、まともに訓練できなければ、米国防総省が、韓国に軍隊を置く意味を、再考しなければならなくなる」と警告する。在日米軍の駐留費の大幅増額を日本に迫るトランプ政権を「まずおカネありきの根拠のない交渉」と痛烈に批判。日本が独自に防衛予算を積み増すことは必要と指摘する。
西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコンテンツは、BSテレ東で毎週土曜日朝9時から放送している「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の中でお伝えし切れなかったことを、改めてインターネットの記事や動画でお届けしようというものです。
今回のテーマは「在韓米軍は撤退?縮小? 日本への影響は?」。
山川龍雄(日経プラス10サタデー・メインキャスター、以下、山川):韓国の要人から、撤退を匂わすような発言も出ていて、気になる問題ですね。
西野:ゲストはアジア安全保障の専門家で、元アメリカ国務省の日本部長、ケビン・メアさんです。よろしくお願いします。
ケビン・メア氏(元アメリカ国務省日本部長、以下、メア氏):よろしくお願いします。

1954月年米国サウスカロライナ州生まれ。ラグレインジ大学、ハワイ大学大学院、ジョージア大学ロースクールを卒業し、弁護士資格を取得、法学博士。81年国務省入省。駐日米大使館で環境・科学技術担当公使、安全保障部長、2006年沖縄総領事、09年から国務省東アジア・太平洋局日本部長。11年に退職後は民間コンサルティング会社の上級顧問として活動。著書に『決断できない日本』(文芸春秋)など。
西野:では、最初の川柳です。
韓国は 米中どちらの 傘えらぶ
山川:アメリカの説得もあって、土壇場で韓国はGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を継続することを決めました。ただその後、中国が韓国に接近しています。12月4日から5日にかけて中国の王毅外相が約5年半ぶりに韓国を訪問し、安全保障面でこれ以上、アメリカとの同盟強化に動かないようにクギを刺しました。
そして文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官からは、こんな発言も飛び出しています。
「もし北朝鮮の非核化が行われていない状態で在韓米軍が撤退したら、中国が韓国に『核の傘』を提供し、その状態で北朝鮮との交渉をする案はどうだろう」
文在寅政権の外交ブレーンで多大な影響力を持っているといわれている人物の発言だけに、波紋を呼んでいます。

西野:もう米韓同盟をいらないと言っているようなものですね。
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