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山川:気になるのは、導入方法です。(1)75歳以上全員を一度に2割にする、(2)導入後に75歳に達した人から徐々に広げる――の2案が浮上しているようですが。

増田氏:既に1割負担に慣れている人を2割にするのは抵抗感が強い。一方で現在70~74歳の人は2割を負担していますから、75歳になってもそのまま。この方が抵抗感は小さいでしょう。私は(2)の案でいいのではないかと思っています。

山川:そうなると、現在、何歳の人から、その制度改革の対象になりますか。

明暗分かれる1年違い

増田氏:団塊の世代の最初の人は現在、72歳くらいですから、その人たちが75歳になる頃に制度が変わるというイメージです。

山川:しかし、この導入方法も、理不尽さは残りますね。現在、72歳の人はずっと2割負担なのに、1歳上の73歳だったら1割負担に変わる。言い換えれば、ギリギリセーフの逃げ切り世代ということになる。生涯の負担で考えたら、ものすごく違ってきます。

増田氏:制度設計をする際には、どうしても生まれた年で区切るのが一番分かりやすい。学校に進学するにしても、義務教育は何歳からとか、年齢で切りますから。

山川:小学校の頃、3年生になると、2年生まで教室にストーブが入り、5年生になると、4年生まで入り、卒業すると全教室に入ったことを思い出しました(笑)。

 結局、医療費の2022年問題というのは、団塊の世代が75歳に到達することに端を発していますから、本人たちに負担増を受け入れてもらおうということでしょうか。

増田氏:そういうことになります。

西野:では、最後の疑問です。

若者は 将来何割 負担する?

山川:これですよね。西野さんが一番知りたいのは(笑)。

西野:はい。ここから本腰を入れて、聞こうと(笑)。

増田氏:現役世代に申し上げておきたいのは、実はこのグラフを見ていただければ分かる通り、かつて高齢者の負担は5割だった時代があるのです。病気は自己負担で治そうということで、保険制度で賄っていたのは半分でした。

 しかし、1973年の田中角栄内閣のときにいきなり無料にしたのです。

山川:大盤振る舞いですね。当時、無料にせず、引き下げるにしても、せめて3割程度にしておけば、今、こんなに苦労することはなかったのでは。

 ただ、当時は高齢者が少なく、現役世代が多かった時代ですから、将来的にこれほど問題になるとは予想できなかったのでしょうね。

増田氏:私に言わせれば、人口動態ほど、将来の予想がしやすいものはないんですけれどね。

 その後、さすがに無料はないだろうということで、負担割合を徐々に引き上げたのですが、それでも一度、下げた負担を引き上げるのは政治的に難しく、今に至りました。

 若い人たちは、負担が大きいと感じているはずですが、昔の人たちが5割負担だったという事実はあるわけです。