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山川:こちらのグラフは世代別に1人当たりの年間の医療費がどれだけかかっており、それをどれだけ負担しているかを示したものです。

増田氏:これを見ると、点線よりも右側、60歳以上の世代は、自分が払っている窓口負担や社会保険料よりも、かかる医療費の方が大きい。20歳から60歳までの現役世代はその逆です。つまり、現役世代の保険料で高齢者の医療費を支える構造になっているわけですね。

山川:西野さんはどこに入るかというと……。

西野:25歳以上のところです。

山川:ほら、圧倒的に緑色の方が青色よりも大きいでしょう。つまりそんなに病院には行かないけれど、社会保険料などを天引きされている。

西野:そうです。保険料が高いんです!

増田氏:このように現役世代は保険料を医療費以上に支払っている。高齢者を支えるために全体でこういう形になっているわけですね。

山川:ある程度は仕方がないと思いますが、その負担がこの先、限界を超えるのではないかといわれているわけですね。

 さらに次の図は、先ほど出てきた後期高齢者の医療費16.8兆円の財源を示したものです。

山川:16.8兆円のうち、後期高齢者自身が病院窓口などで負担している分が、1.3兆円。

増田氏:後期高齢者は原則1割負担ですから、どうしても少なくなってしまう。

山川:残りの15兆円以上はというと、75歳以上の方々にも社会保険制度がありますから、その保険料で賄っている部分が、1.2兆円。

増田氏:そうですね。約1割。これも、あまり大きい額ではありません。残りは現役世代が支えている構造です。

世代間格差をならす

山川:この通り公費、つまり税金で埋めているのが7.3兆円で全体のおよそ5割。現役世代が納めている社会保険料からの仕送り部分が6.4兆円でおよそ4割を占めますね。

 西野さんも私も負担している社会保険料は、自分自身の蓄えのように勘違いしている人もいますが、実際には高齢者への「仕送り」にも使われている。もちろん、ある程度は仕方ないかもしれませんが、さすがに度を超えると、支え切れなくなってしまう。

増田氏:現役世代の人数が維持できれば、今の制度がギリギリ持つかもしれません。しかし、出生数は年々減っていて、2018年には約92万人と過去最少を更新しました。そして今年は90万人を切って88万人くらいになると予想されています。

 これに対して、団塊の世代はピーク時には年間270万人くらい生まれていました。これではとても支え切れません。このままだと、さらに若い人たちに保険料を納めてもらって、制度全体を支える必要がある。

山川:景気拡大が戦後最長と言っているけれど、その割には庶民にその実感が湧かない。その1つの理由は社会保険料が知らないうちにじわじわと増えていて、手取りが伸びていないことも一因とされています。

増田氏:それではあまりにも世代間格差が大きいということで、高齢者の負担を少し重くしていこうという検討に入ったわけです。