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駐留経費増額総選挙に影響

森本氏:5倍というと驚きますが、理屈としては、在韓米軍の維持にかかる経費が50億ドル、つまり約5100億円と試算しているわけで、アメリカはそれを韓国に負担しなさいと言っています。

 すでに韓国国内では、払うべきではないと主張するデモが起きています。もちろん文政権は払えませんし、払わないと言っています。仮に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が合意を作ったとしても、国会で批准されないし、強引に批准しようとしたら、来春の総選挙で与党は負けるでしょう。

山川:ただ、ある程度はのまざるを得ない?

森本氏:そうですね。負担増を受け入れる予算の項目は何なのか。それは何のためなのか。国民に理解してもらえる説明がないと受け入れられないでしょう。

西野:そもそも本当にそんなに経費が必要なのでしょうか。

森本氏:どこまでを駐留経費に含めるかにもよります。

 分かりやすく言うと、例えば朝鮮半島の安定を維持するためにグアムからB52が飛んで行って帰ってくる。これは大変なコストがかかります。空母を派遣する際にも、12隻くらいの機動部隊がセットになります。こうした作戦経費も払え、ということです。

 それから在韓米軍はじっとしているわけではなく、9カ月ごとにローテーションで数千人の兵員を入れ替えています。韓国で訓練をしたら、次の部隊がまた来る。これにはものすごくお金がかかります。そういう移動にかかる経費も韓国はもっと負担しなさいと要求しているのです。

山川:つまり駐留している在韓米軍の経費だけでなく、韓国を取り巻く安全保障にかかるコストは負担しなさいと。

森本氏:その通り。それが来年、日本に跳ね返ってくる可能性があるわけです。

山川:そこが気になります。在日米軍の駐留経費については、2016年度から5年間の予算期限が2021年3月に切れます。日米両政府は来年、更新の協議を本格化させることになっています。

森本氏:来年末、予算を編成するまでの間に合意する必要があります。