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19日に潮目が変化

森本氏:18日の時点では韓国は破棄するつもりだったと思います。

 19日に3回目の米韓のSMA(防衛費分担金特別協定)の交渉が物別れに終わりました。その頃に韓国は金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長を訪米させています。一方、アメリカもこの間、エスパー国防長官やミリー統合参謀本部議長などが継続して説得に当たっていました。

西野:韓国は日本による輸出優遇措置の撤廃を巡る世界貿易機関(WTO)への提訴を取り下げました。それを決めたのも、この頃だったのでしょうか。

山川:日本としては、韓国が提訴を取り下げないと、輸出管理の対話のテーブルに着けません。そのあたりも含めて、アメリカが全体の枠組みをまとめたということでしょうか。

森本氏:そうだと思います。特にスティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が日本に長くいて、調整に動いていました。

山川:日本が対話に応じるということで、韓国側は少なくとも国内向けには「一定の譲歩を引き出した」と説明できる?

森本氏:そうです。韓国は日本が輸出管理で何らかの措置を取らない限り、GSOMIAを破棄すると繰り返し言ってきました。日本が話し合いのテーブルに着くと約束したことで、国内向けには期待感を持たせることができたわけです。

 同時にここまでアメリカが本気で調停しているのに、それを拒否すると、駐留経費の交渉が不利になってしまう。2つはセットになっていて韓国は追い込まれました。日本が対話のテーブルに着くことで、全面敗北にはならない。そう判断して土壇場になって受け入れたのでしょう。

山川:日本では、経済産業省の飯田陽一貿易管理部長が、韓国側の記者会見と同じタイミングで会見をしました。経産省としては、今回はあくまでも輸出管理の厳格化措置を見直すための協議を開くのではなく、韓国側の輸出管理の実態などを把握するための対話を始めるのだと説明しました。

森本氏:経産省の説明については、外務大臣や外務省の局長でないところに意味があります。あくまでも輸出管理の実務責任者が出てきて、韓国と話し合うと言ったわけです。そこは韓国としては何か期待できるという印象を持ったのではないでしょうか。

山川:ただ韓国側は、日本が同じタイミングで会見を開いたことを受けて、いかにも日本は優遇措置を見直すというニュアンスで、韓国内向けに説明しました。いつもそうですが、今回も日韓の間で、発表内容を巡って食い違いが出ています。