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西野:それでは最初の疑問の川柳です。

土壇場で アメリカの意向 反映か

山川:先ほども指摘されていましたが、やはりアメリカの意向が強かった?

森本氏:そうですね。日米韓の連携がうまくいかないと、朝鮮半島を含む北東アジアの抑止力が機能しません。アメリカの戦略が崩れるのです。

 北朝鮮もあるし、その背後には中国やロシアもある。日韓のGSOMIAは、単に情報共有の機密保護協定というだけでなく、日米韓連携の象徴です。それが壊れるという戦略的なマイナスの影響が大きい。

 アメリカ国内の事情もありました。首都ワシントン周辺にはおよそ6万人の韓国系の人たちがいて、「アメリカはなぜ黙っているんだ。このケンカの調停をするのが大国としての責任ではないか」と圧力をかけていました。議会やホワイトハウスを問い詰める声が強かったのです。つまりアメリカも切羽詰まった状態に置かれていたわけです。

西野:トランプ政権としては、米中でギリギリの貿易協議をやっているタイミングでもありますね。

森本氏:それもありますが、アメリカが念頭に置いているのは、米朝の交渉でしょう。日米韓の関係がぐらつくと、北朝鮮との交渉力に影響しますから。

 もちろん韓国は待ったなしの状況でした。アメリカからは在韓米軍の駐留経費負担を増額する要求も突き付けられていました。12月には日中韓首脳会談も控えています。来春には総選挙もある。とにかくこのタイミングで、何とかしなければならなかった。

西野:韓国のスタンスが変わったのはどのタイミングだったのでしょう。

森本氏:失効期限(11月23日)の数日前でしょう。アメリカは韓国に対し「決して損はさせない」と言ったのでしょう。「日本と輸出管理の問題で話し合える舞台を整える」「バランスを取って韓国だけをいじめることはしない」などと、説得したのだと思います。

山川:潮目が変化したのは、11月20日前後でしょうか。