真壁氏:朝鮮半島は安全保障上、重要な地域です。地図を見れば分かる通り、北朝鮮がなければロシアや中国は自由主義社会のエネルギーを直接受け止めなければなりません。逆に韓国がなければ、ロシアや中国のエネルギーは直接、日本に来てしまいます。つまり両国を分断している北緯38度線があるからこそ、均衡を保っている側面があるのです。

山川:共産圏と自由主義経済圏の緩衝帯になっている以上、容易には、壁を取り払えないわけですね。

 ただ、そうした地政学上の理由で分断が続いているのは、当事者たちにとっては、気の毒です。本日の番組にお越しいただいた、拓殖大学大学院客員教授の武貞秀士さんは「ドイツはナチスの問題でペナルティーの意味合いもあって分断されたが、朝鮮半島に罪はなかった」と指摘していました。

 日本では今、韓国や北朝鮮に対する厳しい意見が多いですが、不幸な歴史を背負っていることは間違いありません。

真壁氏:同感です。だからこそ、様々な困難を乗り越えてでも、統一したいという心情が働くのでしょう。

山川:韓国ギャラップの世論調査(10月8日)の結果を見ると、「統一は必要か」という問いに対して「必要」が53%。「必要ない」や「どちらでもない」をはるかに上回っています。

真壁氏:ただ、実際には世代間格差があり、若い世代は「経済的な負担を被るのは勘弁してほしい」という気持ちが強い。

 韓国には表向き、統一に反対するのは難しい雰囲気があります。それが「どちらでもない」という意見には入っているのでしょう。世論は割れていると考えた方がよいと思います。

西野:こちらに統一した当時の東西ドイツと現在の南北朝鮮の違いをまとめました。

 当時、人口は西ドイツが4に対して東ドイツは1でした。これに対して、北朝鮮の人口は韓国のおよそ半分です。

山川:人口の合計だけ見ると、当時の東西ドイツと、南北朝鮮はどちらも約8000万人と変わりません。ただ、南北の場合、北朝鮮の比率が高い。その分だけ、経済的に困窮している人が多く、難民の問題が浮上します。国境を隔てた中国もそこを懸念しているようですね。

真壁氏:そうです。中国としては、仮に統一に向かったとしても、貧困層が国にとどまるような形でなければ、受け入れられないでしょう。

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