テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第18回のテーマは、東西ドイツ統一に見る「南北朝鮮統一のシナリオは?」。ベルリンの壁が崩壊してから30年が経過したが、朝鮮半島の統一は進まない。真壁昭夫・法政大学大学院教授は「ソ連の崩壊が迫っていた当時と、中国が台頭している現在とでは、周辺環境が違う」と指摘。経済格差も大きく、東西ドイツの1人当たり国内総生産(GDP)の差は2倍程度だったが、今の南北は44倍。統一前に、経済支援で時間をかけて格差を埋めるのが先決と説く。

西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコンテンツは、毎週土曜日朝9時から放送しているBSテレ東の「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の中でお伝えし切れなかったことを、改めてインターネットの記事や動画でお届けしようというものです。

 今回のテーマは「ドイツに学ぶ 南北朝鮮統一のカギ」。

 今からちょうど30年前、1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊しました。私が生まれたのは翌90年、東西ドイツが統一したときだったのですが、山川さんは当時、何をしていましたか。

山川龍雄(日経プラス10サタデー・メインキャスター、以下、山川):社会人になったのが89年で、当時はパソコンの黎明(れいめい)期。ワープロ入力と格闘していました。自分が新入社員で目の前のことで精いっぱいのときに、海外の若者は大変なことをやっているんだなと思った記憶があります。

 この番組の視聴者の皆様は、韓国や北朝鮮情勢への関心が高いので、今回は、このタイミングを捉えて、東西ドイツと、南北朝鮮の統一を比較してみようと思います。

西野:はい。ゲストは法政大学大学院教授の真壁昭夫さんです。よろしくお願いします。

真壁昭夫氏(法政大学大学院教授、以下、真壁氏):よろしくお願いします。

<span class="fontBold">真壁昭夫(まかべ・あきお)</span><br />1976年一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。83年ロンドン大学ロンドン・ビジネス・スクール卒。第一勧銀総合研究所金融市場調査部長、みずほ総合研究所調査本部主席研究員を経て2005年信州大学経済学部教授、17年法政大学大学院政策創造研究科教授。著書に『MMT(現代貨幣理論)の教科書』(ビジネス教育出版社)、『ディープインパクト不況』(講談社)、『2050年 世界経済の未来史』(徳間書店)など。
真壁昭夫(まかべ・あきお)
1976年一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。83年ロンドン大学ロンドン・ビジネス・スクール卒。第一勧銀総合研究所金融市場調査部長、みずほ総合研究所調査本部主席研究員を経て2005年信州大学経済学部教授、17年法政大学大学院政策創造研究科教授。著書に『MMT(現代貨幣理論)の教科書』(ビジネス教育出版社)、『ディープインパクト不況』(講談社)、『2050年 世界経済の未来史』(徳間書店)など。

西野:最初の疑問はこちらです。

南北が ドイツになれない 理由とは

 東西ドイツが統一して30年が経過しても、南北は分断されたまま。なぜなのでしょう?