ロムニー氏やヘイリー氏を推す声も

中林氏:ワシントンの酒場では、具体的な名前が飛び交っています。ペンス氏が大統領になってくれた方が次の選挙は戦いやすいという人もいるし、別の候補者を立てた方がいいという人もいます。

 特にトランプ氏が嫌いな人たちは、ミット・ロムニー上院議員の名前を挙げます。あと、挙がるのはニッキー・ヘイリー氏、国連大使を務めた人ですね。

山川:女性のインド系の方ですね。

中林氏:そうです。非白人で女性。この人なら、親トランプ、反トランプ、そして民主党からも、幅広く票を取れるのではないかという話が出ています。

 今は共和党支援者の8~9割がトランプ氏支持で固まっていますが、もし弾劾が現実味を帯びてきたら、分かりません。いずれにせよ、共和党としては12月くらいまでに決めないと間に合わない。弾劾の行方次第では、ワシントンはこれから騒がしくなります。

西野:改めて、演説の話に戻します。ペンス氏は 全米プロバスケットボール協会(NBA)やナイキのことを非難しましたね。そこで最後の疑問です。

NBA なぜ中国に 屈したの?

山川:NBAのチーム、ヒューストン・ロケッツの幹部がツイッターで香港デモを支持したら、中国が反発してNBAが謝罪するという騒ぎがありました。ヒューストンには姚明(ヤオ・ミン)という長身のスター選手がいたので、中国では特に人気のチームなんですね。この問題をペンス氏があえて演説で言及したのはなぜでしょう。

中林氏:中国のファンがゲームを見なくなると、NBAとしては大変な打撃を受けます。NBAだけでなく、ナイキも北京のお店から、ヒューストン・ロケッツに関連するグッズを撤去しました。ビジネスへの影響を懸念して、アメリカの大企業ですら、中国政府になびいてしまう。

山川:そこを怒っているんですか。

中林氏:自由と人権と言論の自由、そんなアメリカの精神はどこに行ったのかと。中国政府の検閲に忖度(そんたく)しているではないかと。ここはアメリカ国民もすごく怒りを覚えているところなので、ペンス氏が言及したわけです。

山川:アメリカの大企業は、お金のためなら魂を売るのか、と。

中林氏:そうです。市場を拡大したい、お金を稼ぎたいという目的で中国にビジネスを広げた結果、技術を盗まれてしまったではないかと。共産党の一党独裁を増長させたのは、こういう企業があるからだと、多くのアメリカ人が思っていて、それをペンス氏が代弁したわけです。

西野:とはいえ、企業としては、中国市場を諦めるわけにはいきません。板挟みですね。

中林氏:そうなんですが、アメリカ国民に嫌われてまで中国に好かれたいのか、と(笑)。

 香港のデモに加えて、この先は、台湾が2020年1月に総統選を迎えます。ここでも中国による情報戦が問題になるでしょう。

 今、アメリカでは、中国の外交官が米国政府や議会関係者、大学の研究者などにアポイントを取る際には、許可が必要になっています。これも「中国の検閲はひどい」という話が広がっているからです。

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