山川:ほー、そうなんだ。

中林氏:これも信じ難いかもしれませんが、福音派の中には、トランプ大統領が実現したことを、神様がもたらしてくれたものと受け入れる人が結構いるんですよ。だからペンス氏はトランプ氏から難題を与えられても、「神様が与えてくれた試練」と思っているふしがあります。

山川:なるほど、ペンス氏がトランプ氏と長く付き合える1つの理由は、宗教上の理由なんですね。それにトランプ氏がエルサレムをイスラエルの首都と認定し、アメリカの大使館を移転したことも、ペンス氏としては、感謝しているでしょう。

中林氏:福音派の人たちは聖書に書いてあることを信じるというのが基本ですから、イスラエル問題にはとりわけ関心が高い。エルサレムの件で、トランプ氏がとても意義のある大統領だと信じる人たちが増えたのは確かです。

西野:次の疑問は、これです。

中国に 怒り心頭 ペンス節?

 ペンス氏は1年前にも演説し、中国を厳しく批判したことで注目されました。今回も人権問題などで痛烈な批判を繰り返しながらも、通商協議を意識してか、トーンを抑制した面もあると、いわれています。中林さんはどう見ますか。

中林氏:政治家としての嗅覚の鋭さが色濃く出ていますね。通商協議で部分合意にこぎ着けたいトランプ氏の意向を反映していますし、同時にバッド・コップ(こわもての警官)の役割も買って出ている。

山川:硬軟取り混ぜて中国に圧力をかけていくうえで、自分は厳しく迫る役割を演じている?

中林氏:はい。そもそも本質的なところでは、中国に対して寛容な人ではありません。とりわけチベットやウイグルに対する人権弾圧など、宗教がからむ問題については今回も、厳しく批判しました。

 一方で、経済面では一定の配慮が見えます。トランプ氏は通商協議の部分合意を実現させたいと考えているし、それが世界経済やマーケット、あるいは、来年の大統領選挙に与える影響は大きい。そのことをペンス氏はよく分かっていますから、このタイミングで中国にサインを送りました。「必ずしも中国との分断を目指しているわけではない」と発言したのは、その象徴です。

山川:アメリカではデカップリング論、つまりアメリカと中国の経済的つながりを断裂させるべきだという意見が勢いを増しています。その中で、演説では「中国とのデカップリングを望んでいない」と明言しましたね。

中林氏:はい。アメリカが中国のハイテク分野を本気で締め出したら、冷戦時代における鉄のカーテンのようなものがデジタル分野で起きかねません。デカップリング論を否定したのは、中国にとってはかなりのメッセージになりました。

西野:そもそもペンス氏の演説は2019年6月に予定されていたものが、一度延期になった経緯があります。