テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第16回のテーマは「ペンス米副大統領ってどんな人?」。中国の人権弾圧などを厳しく批判する演説で注目されるが、中林美恵子・早稲田大学教授は「トランプ米大統領と硬軟のバランスをとるために、バッド・コップ(こわもての警官)を演じている面もある」と指摘。筋金入りのキリスト教福音派で「トランプ氏から難題を持ちかけられるのは神が与えた試練」と本気で考えているふしがあるという。信心深さと政治家としての嗅覚の鋭さが、閣僚離脱が相次ぐ中で、政権に長く留まる理由だと分析する
西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコーナーは、BSテレ東で毎週土曜日朝9時から放送している報道番組「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」でお伝えしきれなかったことを、もっとみたい、聞きたいということで、ゲストにうかがっていこうというものです。
今回のテーマは「ペンス米副大統領ってどんな人?」。
トランプ米大統領のインパクトが大きいので、取り上げられることが少ないですが、実はこの人を知ると、アメリカの政治がもっと多角的に見えてくるそうです。
山川龍雄(日経プラス10サタデー・メインキャスター、以下、山川):10月24日には米ワシントンで対中政策に関する注目の演説を行いました。この内容も読み解いていただきたいと思います。西野さん、今回は16回目にして初めての女性ゲストですよ。
西野:そうですね。早稲田大学教授の中林美恵子さんです。アメリカ政治の専門家です。よろしくお願いします。
中林美恵子氏(早稲田大学教授、以下、中林氏):よろしくお願いします。

1960年埼玉県生まれ。跡見学園女子大学文学部卒、米ワシントン州立大学大学院政治学部修士課程、大阪大学大学院公共政策研究科博士後期課程修了。米国永住権を得て連邦議会上院予算委員会に採用され共和党側に勤務、約10年間予算編成にかかわった。2009年の衆議院選挙で民主党候補として当選。2013年に早稲田大学准教授、2017年に教授。授業、ゼミは英語で行う。米マンスフィールド財団の名誉フェロー。著書に『トランプ大統領はどんな人?』(幻冬舎)、『トランプ大統領とアメリカ議会』(日本評論社)など。
西野:最初の疑問はこちらです。
トランプと ペンスはホントに 仲良しか?

ごめんなさい、文字数の制限で、呼び捨てになってしまいました。まず、ペンス副大統領はどんな人物なのでしょうか。経歴を見ると、下院議員や米インディアナ州知事を経験されていますね。

中林氏:はい。政治家としての経験をしっかりと積んでいます。下院議員の時には予算委員長もやっていましたので、立法のプロセスも熟知しています。トランプ大統領は議会の経験がありません。選挙戦の最中には、本当に政策を立案できるのかと疑われましたが、そこをペンス氏が副大統領候補になることで、補いました。
さらに、キリスト教の福音派であることが重要です。キリスト教の中でも人数が多く、選挙に投票に来る人のおよそ4人に1人に当たるといわれています。特に共和党にとっては大事な有権者で、ペンス氏が副大統領候補になったことで、福音派の多くがトランプ氏支持に回りました。
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