全7297文字

テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第9回のテーマは「GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄で、アジアの安保はどうなる?」。西野純也・慶応義塾大学教授は「文在寅(ムン・ジェイン)政権の本質は民族主義であり、GSOMIA破棄は、日本の措置で国家の自尊心を傷つけられたことが要因」とみる。米トランプ政権と文政権は在韓米軍縮小という方向性で合致しており、韓国の防衛力強化が進むと予測する。

西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):今回のテーマはこちらです。「GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄で、どうなるアジアの安保」。

山川龍雄(日経プラス10サタデー・メインキャスター、以下、山川):いくら日韓関係がギクシャクしているからといって、さすがに韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権がGSOMIAを破棄するとは思いませんでした。この想定外の行動に、日本だけでなく、アメリカも怒っています。今回の件が今後、東アジアの地政学にどんな影響を与えるのか……。

西野:お話を伺うのは慶応義塾大学教授の西野純也さんです。韓国から帰国されたばかりで、現地の反応なども伺ってまいります。

西野純也(にしの・じゅんや)慶応義塾大学法学部卒。同大学大学院博士課程単位取得退学、延世大学大学院博士課程卒業(政治学博士)。専攻は現代韓国朝鮮政治、東アジア国際政治、日韓関係。著書に『朝鮮半島と東アジア』(岩波書店)、『日韓政治制度比較』(慶応義塾大学出版会)。

西野純也氏(慶応義塾大学教授、以下、西野氏):よろしくお願いします。

西野:最初の疑問はこちらです。

日本より アメリカよりも 北朝鮮?

 西野さんは韓国政府がGSOMIAを破棄すると発表した時に韓国にいらっしゃいました。現地ではこの決断が、どう受け止められていましたか?

西野氏:ちょうど日韓の専門家が集まって、日韓関係の改善策を議論している時でした。みんな残念がっていました。

山川:韓国の専門家にとっても想定外だった?

西野氏:そうですね。韓国の報道でも、一定の条件付きではあっても延長されるだろうと予想されていました。それに文大統領が8月15日の光復節の演説で日本批判のトーンを控えていましたから。

西野:現地の雰囲気はいかがでしたか?

西野氏:とにかく日本の貿易管理の運用見直しが「政治報復である」という認識が強いですね。

 日本は見直す理由として「信頼関係が失われた」ことを挙げました。そうであれば、「高度な軍事機密を共有できる状況ではない」というのが文政権の立場ということです。