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テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第5回のテーマは、かんぽ生命の不正問題。生命保険評論家の山野井良民氏は「民営化以降、郵便局の体質が変わった」とし、半官半民の制約の中でかんぽのターゲットが高齢者になっている現状を糾弾する。

西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコーナーは、BSテレ東で毎週土曜日の朝9時から放送している「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」という番組で伝えきれなかった内容を再びゲストと共にお伝えしていこうというものです。

 今回のテーマは「かんぽ不正はなぜ起きた?」。

山野井 良民(やまのい・よしたみ)
1948年東京都生まれ。71年保険銀行日報社入社、保険編集部長を経て88年に独立。87年から97年まで実業之日本社「最新保険・年金大百科」編集長、99年「保険Web」開設。消費者、保険・金融業界向けの研修・講演など啓蒙活動を50年近く続けている。著編書に『最新保険大百科』、『最新保険・年金大百科』(ともに実業之日本社)、『マンガ保険入門』(サンマーク出版)など。

 ゲストは保険評論家の山野井良民さんです。よろしくお願いします。

山野井良民(保険評論家、以下、山野井氏):よろしくお願いします。

山川龍雄(日経プラス10サタデー・メーンキャスター、以下、山川):山野井さんはもともと保険業界誌の編集長をやっていらして保険博士と言ってもいいような方です。

山野井氏:50年近く、この業界を見ています。

西野:私の保険も後で相談したいくらいです(笑)。最初の疑問がこちら。

安心を 買ったつもりが 無保険に

山川:今回のかんぽ生命保険の不正。典型的な例を1つあげると、図のようになります。

 郵便局員が営業する際に、新規契約なら手当を満額もらえますが、乗り換えなら半分くらいに減らされてしまう。そこで何をやったかというと、前の契約を解約した後、3カ月以上たってから改めて契約して新規扱いにしていたんですね。この間、顧客は無保険になっていた。病気になったり、手術が必要になったりしたら、一体どうなるのか。もちろん郵便局員の皆さん全員ということではないですが、1人や2人でもなかった。

西野:郵便局の窓口っていつも静かで穏やかで、皆さん服装もかっちりしていて優しいのに、これだけのことが起きていたというギャップが私には衝撃でした。

山野井氏:今回、被害にあっているのは、高齢者の方が目立ちます。郵便局はおなじみなので、貯金も保険もお任せする関係になっている。

 そういう中で乗り換えを勧めるときに、実は1回解約させ、3カ月後に改めて新規契約を結ばせていた。今回問題になった販売のうち、一番多かったのはこのパターンです。この間に死亡したり、事故にあったりしたら、無保険の状態なので保障されません。