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西野:今後、もし輸出量を制限するとか、禁輸するといったことになったときはどうなりますか?

細川氏:そういうことにはなり得ません。日本は法治国家ですから、輸出品が第三国に流出する恐れがあるといったエビデンス(証拠)がなければ、不許可にしません。

山川:確実にどこかに流れていると確証がある場合だけ?

細川氏:あるいは流れる可能性が高い、と見れば不許可にすることはあります。それ以外は禁輸はあり得ません。通常の輸出を不許可にしたら日本政府がその企業から訴えられますから。

山川:確かに中国との件では、日本がレアアースをどこかに横流ししていたわけではなかった。

細川氏:中国のケースは完全に禁輸です。しかも理由が尖閣の問題ですから意味が全く違います。

山川:そこをきちんと国際社会に伝えていくのが大事ですね。どうしても韓国の方がロビーイングも含めて国際世論を巻き込んでいくのがうまいですから。

 WTOをめぐっては4月、最終審に当たる上級委員会が、福島など8県産の水産物の輸入を禁止する韓国の措置を事実上認める判断をしました。これも、日本側は勝てると思っていたら、敗訴してしまった。

細川氏:もちろん今回の措置については、背景には、徴用工問題などによって2国間の信頼関係が薄れたことがあると思います。でも、それを前面に出してしまうと、本当の理由が見えなくなる。

 徴用工の問題だけを切り取られて、中国のレアアースの事例と同一視されるのが心配です。実際に海外の報道ではそういう論調が出ていますから。国際的にどうアピールしていくかが、大事だと思います。

山川:我々も正しく報道していかないといけませんね。

西野:そうですね。さて、日本の措置で物事は前に進むのかどうか。日韓関係はどうなるのかが気になります。そこで最後の疑問です。

いつまでも 近くて遠い お隣さん?

隣国同士、対立が強まる傾向にあるわけですが、今後の展開をどう見ていらっしゃいますか。

細川氏:そうですね、関係改善がなかなか期待できないからこそ今回、こういう措置に至ったわけです。もちろん今後、韓国側がきちんと輸出管理をし、不適切な事案が二度と起こらないという確証を日本が持てば次の展開はあると思います。ただ、今の韓国の状況を見ると、期待するのは難しいかもしれない。

言うべきことを言う

山川:今までは日本側はじっと黙って、韓国が変わるのを待つのが基本的なスタンスでした。ただ今回は一歩踏み出したような印象を持ちます。日本政府は「言うべきことは言う」というモードに切り替えたということでしょうか。

細川氏:そうですね。輸出管理の世界でもきちんとした対応は期待できないと見切りをつけたということだと思います。

山川:文在寅(ムン・ジェイン)政権の姿勢を見ていると、メンツや支持率を意識して、報復に出てくる可能性が高いのではないでしょうか。その場合、ここに示した通り、WTOへの提訴や戦略物資の輸出制限、日本製品に対する輸入規制などが考えられます。

 一方、日本側も農水産物の輸入制限、就労ビザの制限などが一部で取り沙汰されています。

日韓双方の考えられる対抗策

細川氏:韓国が報復措置だと言って出てくるならば、日本がWTOに提訴すればよい。勝てると思いますよ。

山川:むしろ白黒つけた方がいいと……。

細川氏:はい、その過程で今回の不適切事案のこともきちんと説明すればよい。