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もっと国際社会にアピールを

細川氏:そうした誤解があること自体が問題です。トランプ大統領による、中国のファーウェイへの輸出規制や、中国によるレアアース(希土類)の輸出規制などと同一視されるのはすごく問題があります。

 国際的なルールに基づいて行動するというのが、日本の立場。日本は国際社会に正当なことをやっているというアピールをもっとすべきです。

西野:韓国ではWTOに提訴するという声も出ています。そこで2つ目の疑問です。

貿易で 違反の線引き どこにある?

 今回の問題、WTOのルールに照らし合わせると、どうなりますか。

細川氏:世界が協調して自由貿易を推進しようというのがWTOの精神です。ただ、その中で安全保障に関しては例外として日本も含め参加国は輸出管理を厳格にやることが認められています。もし、今回のケースで、日本がWTO違反になるのなら、ほかの国もみんな違反になってしまいます。

山川:改めて確認させてください。韓国がWTOに提訴しても違反にはならない?

細川氏:明らかに、なりません。

西野:米国のファーウェイに対する措置や、かつて日米貿易摩擦の頃の日本への強硬姿勢などを考えると、安全保障上の理由ってどうなんだろうと思うところもあるのですが。

細川氏:米国の場合、強弁が目立ちます。安全保障にひっかけないとWTOの例外措置にならず、違反になってしまうから、そうしている面がある。

山川:米国の場合、国内で法律を作って進めているわけですが、確かに国際社会から見たら無理筋ではないかと感じるときがあります。例えば自動車の関税引き上げまで、安全保障を理由にするのはどうかと思う。

細川氏:おかしいですよね。だから、米国がやっていることと同一視してはダメなんです。先ほど申し上げた通り、軍事にも使われかねない危険な物質が危険な国に渡らないようにするために、日本は行動しているわけですから。それがどうして違反なのでしょう。

中国によるレアアース規制との比較

山川:WTOとの関連を明確にするために、具体的な事例で考えていきましょう。

 表の右側は、中国のWTO違反のケースです。尖閣諸島の問題が起きたとき、日本に対してレアアースの輸出量を制限しましたが、このときは、日本が提訴して、中国が負けました。

 そして左側の今回は、徴用工や自衛隊機への火器管制レーダー照射問題などで「信頼関係が著しく損なわれた」ことを政府は理由の1つとして挙げています。ただ、中国のケースと違って、輸出を制限するわけではなく、あくまでも優遇措置を除外するというものです。

細川氏:徴用工の問題は背景にはあっても理由ではありません。理由は明らかに輸出管理の世界での論理です。しかも禁輸するといった運用ではない。あくまでも輸出の許可手続きを変更するだけです。国際的なルールにのっとって淡々とやろうとしている。