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西野:本当にそういう衝突が起きたときには、日本は米国の後ろについて、今まで親日的だったイランと戦わなければならない可能性も出てくるということでしょうか?

革命後、映画が親日に導いた

孫崎氏:はい。イランがなぜ親日的かを説明しますと、イラン革命は西側の退廃文化との対決でした。その後はハリウッド映画のみならず、フランス映画もイタリア映画も入ってこなくなった。

 でも、娯楽は必要ということで日本映画が100本以上入ったんです。黒澤明とか溝口健二とか素晴らしいものが行った。それがきっかけで、日本への憧れが芽生え、日本との一体感が生まれました。

西野:NHKの連続テレビ小説「おしん」が大ヒットしたというのも聞きました。

山川:根底には米国のことがずっと好きだったけれど、国交が断絶して西欧の文化も入らなくなったところに、日本のものが大量に入ってきて親日になったというわけですね。

孫崎氏:そうです。2000年にイラン国民対して実施された調査で、主要7カ国(G7)の中で「どの国が一番信頼できるか」を聞いたら、日本だったので、イラン外務省が驚いたことがあります。

西野:だからこそ仲介役としていろんなことができる可能性があったということなんですね。

孫崎氏:仲介役というのはやはり公平であること、公平とみなされること、それが大事なんです。

山川:今のイランの人たちは、日本はトランプ大統領に寄り過ぎているとみていませんか。確かに安倍総理がハメネイ師に会えたのは素晴らしいことですが、そこから先は日本側がきちんと中立公正でやっているという姿勢を見せないと、前に進まない感じもします。

孫崎氏:そう、おっしゃる通りです。

 もう1つ、ハメネイ師がなぜ安倍総理に会ったのか、あまり知られていないエピソードを披露します。実はハメネイ師の親族の女性が金沢大学に勉強に来ていたことがあるんです。2001~02年のことですが、パレスチナの大使が「これはすごいこと」と驚いていました。それくらいハメネイ師は日本を信用している。