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クリントン大統領時代に国交を回復しようとした

西野:仲直りしようとはならなかったんですか。

孫崎氏:実は1998年ごろ、クリントン大統領のときに国交を回復しようとしたんです。私がイラン大使になって行くときに、米国大使館の人から「イランと国交を回復するので仕事が増えるだろう」と言われたことがあります。

西野:仲介役ということですか?

孫崎氏:仲介役も少しやりました。イラン大使館に行って、「日本ほど仲介を真剣にやろうという国はない。イランと米国の関係が悪いと日本もイランとの関係を良くできない。米国との関係を良くしてほしい」と伝えました。それで2001年、イラン側からも「やってください」というお願いが来た。そこで米国へ行ったんですが、ブッシュ政権になってしまっていた。

山川:ブッシュ大統領は、イラン、北朝鮮、イラクを「悪の枢軸」と名付けました。

孫崎氏:そのときにイランとの関係を「厳しくしろ」と主張していた人物が、現在のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)なんですよ。

西野:そこまでつながってくるんですね。そのボルトン氏をはじめ強硬派の人たちがどんどん姿勢を強めています。そこで、次の疑問です。

口げんか 気付いたときには なぐりあい

 口論がいつの間にか軍事的な衝突へと転じないか心配です。

山川:今のところ米国とイランは直接衝突はしていないわけですが、お互い、ののしり合いが続いています。そして先日は、イラン革命防衛隊に米国の無人偵察機が撃墜されたことの報復措置として、米国が攻撃態勢に入りました。トランプ大統領が10分前に中止を命じたとされていますが、まさに一触即発。偶発的な衝突が起きて戦争にならないかと心配されています。

孫崎氏: 例えば、英語で暗殺のことを、アサシネイション(assassination)といいますが、その語源は、中世イスラム社会に存在したとされる暗殺集団に由来するという説があります。

 米国の人たちは「一気につぶせばよい」「つぶせるだろう」と考えがちですが、その後、様々な手段で対抗策をとってくる可能性があります。

山川:米国は本音では戦争はやりたくないと言っています。それはイランの軍事力は侮れないと思っているし、テロなどの報復措置も考慮しているということなのでしょう。