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ハメネイ氏を「師」と呼ぶ理由

西野:それぞれに誇りがあるんですね。そのハメネイ師についての疑問です。

ハメネイ師 氏ではなくて どうして師?

 最近まで氏かと思っていました。

孫崎氏:イランの政治体制は宗教支配ですから、最高指導者は大統領より偉いわけです。宗教の一番偉い人が最高指導者になっているから師を使います。

西野:どうやれば師になれるんですか?

孫崎氏:先ほど言ったような血統ということが非常に重要ですが、イスラムの勉強をしてそこを超えた人たちが一般的に師といわれているようです。

山川:政治構造の図を見ると、大統領はナンバーワンではないのですが、なぜこうなったんですか?

●イランの政治構造

孫崎氏:1979年にイラン革命が起きた後、イスラム指導体制でいくことを決めたわけです。大統領が一番偉いことにすると、宗教革命が消えてしまう可能性がある。政治的に決めるけれども、その上には宗教の指導者がこれを全部牛耳る体制にしたわけです。

西野:じゃあ形だけの大統領ということになるんですか?

孫崎氏:政府の実行機関です。政策を決めるのは最高指導者なんですよ。

山川:会社でいうとロウハニ大統領はCOO(最高執行責任者)みたいなものですね。

孫崎氏:そうです。

西野:最高指導者には、なりたいと言ってなれるものなんですか?

孫崎氏:基本的には宗教指導者でないとダメです。指導者の集まりである専門家会議というものがあって、この中から互選で一番いい人を選びます。

西野:ハメネイ師が1989年就任というと私が生まれた頃なんですけど、ずいぶん長い任期ですね。

孫崎氏:私がイランにいたのは2000年ごろですが、当時でもハメネイ師の後継者が誰になるかという論議はありました。

山川:イラン革命をやった前任のホメイニ師が亡くなったときにハメネイ師になりました。基本的には終身ということなんですね。ハメネイ師は今、80歳。国内ではざわざわしているんじゃないですか。ロウハニ大統領が次の指導者になることはあるんですか?

西野:ターバンの色が違うからダメなんじゃないですか。

孫崎氏:おっしゃる通り、一つの要素になりますね。

山川:イスラムの中でどこに位置付けられているかが大事なんですね。