豊島氏:確かに通常であれば、これだけ株価が急落すれば、一時的に1ドル=102~103円になってもおかしくありません。

山川:いわゆるリスク回避の円買いですね。

豊島氏:そう。今回はそれが今のところ起きていない。円高神話が必ずしもあてにならなくなっています。今はとにかく投資家の一時避難先は、ドルに集中しています。

山川:円安というよりも、ドル高ということですね。

豊島氏:そう。それに教科書通りに行かないというのは、先ほど申し上げた通り、AIの売買が影響しています。人間の思考とは異次元の反応をしている。

 それから、新型コロナウイルスの問題だけでなく、米中交渉や中東情勢など、あまりにもリスクが多過ぎて、トレーダーやアナリストがどのリスクを重視すべきか迷っていることも理由の1つでしょう。数学でも変数が4つ以上になると、方程式を解くのが難しい。それと同じです。

西野:それでも豊島さんには、予想を聞きたい(笑)。

山川:この先は円高を予想する人が多いのですが、必ずしもそうとは限らない?

日本円の見切り売り?

豊島氏:中長期では、逆に円の見切り売りという展開もあり得ますよ。消費増税の影響が残っているところにウイルスの問題が追い打ちをかけたわけですから。

山川:目の前の動きについてはいかがですか。

豊島氏:これが配信されるのが3月5日の予定ですよね。そのときの私の予想は1ドル=107円程度。

山川:当面はやや円高に振れていく?

豊島氏:ゴールドマン・サックスは基本シナリオとして、上半期3月から6月の間に0.75%ポイントの利下げを予想していますから……。

山川:そうすると日米の金利差が縮小して、円買い要因となる?

豊島氏:そうです。あくまでも金利差要因で円高が進むというのが、目先のメインシナリオです。ただ、その先は分かりません。「これが法則です」と確信を持って言えるような時代ではありませんから。

西野:難しいですね……。

山川:では、そろそろ西野さん、転勤の挨拶をしましょうか。

西野:はい。これが連載最後の川柳となります。

アメリカに 転勤します さようなら……

山川:西野さんは今後、テレビ東京のニューヨークスタジオから「Newsモーニングサテライト」などに出演し、アメリカの市場の動きを伝えることになります。

豊島氏:まさにマーケットの中心じゃないですか。

西野:豊島さんは現地に精通されています。ぜひご指南ください。