クラフト氏:なぜかと言うと、このままでは突出して抜け出す候補が現れず、7月の党大会までもつれ込む可能性が高いからです。混戦のままだと、民主党は盛り上がりません。結局、トランプ氏を利することになる。

山川:ギリギリまで決まらないと、本選の準備期間が短くなります。トランプ氏は、スポーツでいうとシード権を与えられたチームみたいに余裕をもって準備できるわけですね。

クラフト氏:そうです。そもそもアメリカの大統領選は、現職が有利という傾向もありますから。

山川:現職は圧倒的に知名度が高い。それに選挙を意識して、この先、経済や株価にとってプラスとなるような政策を掲げることもできます。とりわけトランプ大統領は露骨に選挙を意識した施策を打ち出しそうです。

 民主党の候補者レースが混とんとしているのは分かりましたが、その中であえて予想するとしたら、誰が指名を受ける可能性が高いですか。

クラフト氏:今回の民主党予備選が前回と違う点は、スーパーデリゲート(特別代議員)票がカウントされなくなったことです。民主党には、得票数によって振り分けられる誓約代議員と、個人の意志で好きな候補を応援できる特別代議員という2種類の代議員が存在します。

 特別代議員になれるのは、民主党の上下両院議員、州知事、正副大統領経験者など、要するにエスタブリッシュメントですね。彼らはそれぞれの州でどの候補が勝とうが、その結果に束縛されることなく自分の好みの候補を支持することができます。

 彼らは中道派を支持する傾向があるので、前回はこの票がクリントン氏にいってサンダース氏が負けました。今回はこうした特別代議員は7月の党大会で過半数が出ずに、決選投票となった場合にのみ、投票することになりました。その分だけ、前回よりもサンダース氏のような左派が有利になります。

 サンダース氏が勝てるとすれば、同じく左派のウォーレン氏が早めに離脱することが条件でしょう。左派票を集約できますから。

山川:ブティジェッジ氏はいかがですか。勝てるとすれば、どんな展開が考えられますか。

クラフト氏:民主党の歴代大統領を見ると、若い候補者が旋風を巻き起こすパターンが多い。オバマ氏、クリントン氏、カーター氏がそうでした。それに唯一なりうる候補がいるとしたら、ブティジェッジ氏です。まだ風を起こすところまでは来ていませんが、アイオワを僅差であっても制したことで、可能性は出てきました。

山川:この動画や記事を公開した頃には、ニューハンプシャー州の結果も出ているはずです。下馬評では地元に近いサンダース氏が優位とみられていますが、ブティジェッジ氏が追い上げているようです。結果次第では、ブティジェッジ氏に勢いがつく可能性がありますね。

クラフト氏:一方、バイデン氏はここで1位や2位になれなくても、せめてアイオワ州よりも良い結果を出さないと、厳しくなるでしょう。

ブルームバーグ氏はネバダで表舞台に

山川:虎視眈々(たんたん)と狙っている、大手経済メディアの創業者で前ニューヨーク市長のブルームバーグ氏はどうですか。バイデン氏が失速した場合は、中道派の受け皿になる可能性がありますか。

クラフト氏:2月19日にネバダ州の討論会があり、投票が22日です。その頃から出てくるでしょう。

山川:少し古いデータですが、19年12月までの各候補者が投じた資金の収支を示しています。青は収入、赤が支出ですが、ブルームバーグ氏は突出していますね。破格の広告費を投じているようです。

クラフト氏:全候補を合わせても、ブルームバーグ氏にはかなわない。

山川:経済メディアの創業者だから、資金力がある。「不動産王」と呼ばれるトランプ大統領と比べても、比較にならないほどのお金持ちだそうですね。

クラフト氏:これだけ資金を投じれば、ある程度支持率は上がってきます。ただ、まだ指名争いの候補者としては、知名度が足りない。

 ネバダ州の討論会でバイデン氏やサンダース氏の横に立ち、ディベートで健闘すれば、有力候補者として躍り出るかもしれません。そこで評判を高めて、3月3日のスーパーチューズデーで勝負というシナリオを描いているはずです。