テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第27回のテーマは、アメリカ大統領選「最後に笑うのは誰か?」。民主党の候補者指名争いでは38歳と若いブティジェッジ氏や左派のサンダース氏が好スタートを切った。経済アナリストのジョセフ・クラフト氏は、ブティジェッジ氏が「オバマ氏やクリントン氏のような旋風を巻き起こす可能性はある」とみる。ただ、現状では突出した候補者が見当たらず、「トランプ大統領の再選確率は60%」。注目は大統領選と同時に行われる議会選挙。上下両院とも民主党が過半数を握れば、ねじれ状態が生まれ政権はレームダック化する。再び弾劾話が持ち上がる可能性もあると予想する。
西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコンテンツは、BSテレ東で毎週土曜日朝9時から放送している「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の中でお伝えし切れなかった内容を、改めてインターネットの記事や動画でお届けしようというものです。
アメリカで共和・民主両党の指名候補を決める大統領選挙の予備選がスタートしました。サタデーに出演しているテレビ東京の森本智子アナウンサーは取材でアイオワ州に行っているそうです。
山川龍雄(日経プラス10サタデー・メインキャスター、以下、山川):メールをもらいましたが、ブティジェッジ候補と握手したそうですよ。
西野:えっ、ずるい!(笑)。つい思い入れが強くなってしまう大統領選ですが、そこで今回のテーマはこちら。
アメリカ大統領選「勝つのは誰か?」
ゲストは経済アナリストのジョセフ・クラフトさんです。よろしくお願いします。
ジョセフ・クラフト氏(経済アナリスト、以下、クラフト氏):よろしくお願いします。
ジョセフ・クラフト
1986年カリフォルニア大学バークレー校卒業、同年7月モルガン・スタンレーNY入社、87年東京支店に転勤。為替、債券営業の責任者などを歴任、2007年ドレスナー・クラインオート東京支店、2010年バンク・オブ・アメリカ東京支店副支店長兼為替本部長、2015年に独立し、金融コンサルタント会社ロールシャッハ・アドバイザリー代表取締役就任。
西野:最初の疑問はこちらです。
アイオワと ニューハンプシャー なぜ大事?
山川:この配信動画と記事が出た頃には、ニューハンプシャー州も結果が出ていると思いますが、なぜこの2つが大事なのでしょう?(編集部注:民主党のニューハンプシャー州予備選ではバーニー・サンダース氏が勝利。2位のピート・ブティジェッジ氏を僅差で破った)
クラフト氏:1番のポイントは勢いです。アイオワ州は全代議員票の約1%、2番目のニューハンプシャーはその半分程度しかないのに、とても注目されます。なぜかというと、初戦なのでメディアの露出度が高い。そして、一番大事なのは献金です。
山川:献金?
クラフト氏:アメリカの大統領選は年明けから11月までと期間が長く、地域も広いので、おカネがないとやっていけません。スタートで上位にくれば、有権者はその候補者に可能性を感じ、献金が集まるようになります。これが一番大事。
西野:そもそもどうして党員集会はアイオワ州から、そして予備選はニューハンプシャー州から始まるのでしょうか。ほかの州が「来年は自分たちが最初に実施したい」と言ってもできないのですか?
山川:アイオワ州が最初の党員集会、ニューハンプシャー州が最初の予備選を行うことは民主・共和両党の規則および州法で決まっているそうです。既得権のようなものですね。
クラフト氏:一種の慣習です。このルールを変えると、他の49州が「我も我も」ということになってしまいますから。
西野:2つの州がアメリカ全体の縮図のようなところはあるのですか。
クラフト氏:昔はアメリカ全体が白人中心だったので、そうした側面もありました。ただ、今は黒人やヒスパニックなどのマイノリティー層が増えているので、白人の多いアイオワ州は、必ずしもアメリカ全土を反映していません。
西野:党員集会と予備選の違いもよく分かりません。
山川:簡単に言えば、予備選は投票で、党員集会は討議しながら代議員を選出する仕組みです。初戦のアイオワ州の場合、民主党の党員集会は学校や図書館など1700カ所あまりの会場で開かれます。その結果を集計して、各候補者に割り当てられる代議員が選ばれます。
クラフト氏:アイオワ州は独特です。1回目の支持表明で参加者の15%を獲得できなければ、その候補は原則として脱落します。1回目に脱落した候補を支持していた人たちは、あらかじめ第2候補を決めているので、そちらが再集計されます。その結果、1回目とは違う順位になることがある。
アイオワ州ではブティジェッジ氏とサンダース氏がともに勝利宣言をしたでしょう。それはこの仕組みが影響しています。1回目の支持表明ではサンダース氏が首位でしたが、2回目でブティジェッジ氏が逆転したのです。
山川:アイオワ州については、集計の見直しの話も浮上していますが、現時点では1位がブティジェッジ氏で、2位がサンダース氏。その差はわずか0.1ポイントです。僅差であると同時に、クラフトさんがおっしゃるように1回目の集計では首位だったとすれば、サンダース氏が集計の見直しを求める心情は分かりますね。
クラフト氏:4位だったバイデン氏と5位のクロブシチャー氏はいずれも中道派ですから、その支持者の第2候補はおそらくブティジェッジ氏が多かったはず。この2人が15%割れした地区が多いので、2回目でブティジェッジ氏が躍進したのでしょう。
左派色の強いサンダース氏に対しては、候補者の好き嫌いがはっきりと分かれます。初戦はこのあたりが勝敗の分かれ目となったわけです。
西野:それにしても、投票でなく、みんなが集まって討議するのですね。
クラフト氏:そうです。1800年代のやり方をいまだに続けているから集計ミスが起こりやすい。
今回のミスの何が痛かったかというと、全体がしらけてしまい、ブティジェッジ氏もサンダース氏も勢いに乗れなかったこと。これでは献金があまり入ってこない。
山川:首位に立ったブティジェッジ氏はどんな人かというと……。
西野:はい、38歳。インディアナ州生まれ、大手コンサルティング会社のマッキンゼーを経て、軍隊の経験もあります。同州のサウスベンド市長を経て大統領候補に立候補したわけですが、性的少数者(LGBT)であることを公言しています。
山川:若いけれど、たくさんの経験を積んだ人ですね。
クラフト氏:彼がすごいのはハーバード大学を卒業したにもかかわらず、自ら志願し、アフガニスタン戦争に従軍したことです。今回の候補の中で唯一、軍歴がある。これは非常にプラスです。
山川:若者よりも年配の人たちに人気があるそうですね。「息子にするならこういう人物」といったイメージがあると聞きました。
クラフト氏:ありますね。演説はうまいし、政策的にも、まともでいい加減なところがない。
山川:お話を聞いていてクラフトさんにちょっと似ているような……(笑)。
クラフト氏:似ていないですよ、全然(笑)。
西野:昔の面影が……。
クラフト氏:30年前なら似ているかもしれない。
西野:好青年という感じが……(笑)。
山川:LGBTというのは選挙にどう影響しますか?
クラフト氏:民主党の予備選では大きな影響はないかもしれませんが、本選では不利に働くとみられています。アメリカでは宗教的に難しい。LGBTを頭では認めていても、心の中では違和感を持つ有権者が多い。そこで迷う人が出てくると思います。
では、トランプ氏が褒められた振る舞いをしているかというと、こちらも「とんでもない」という話が出てくるわけですが。
西野:トランプ大統領の数々の女性をめぐる問題は、宗教的な問題ではないんですか?
山川:西野さんの質問は鋭い(笑)。
西野:ブティジェッジ氏は黒人にあまり人気がないと聞きましたが、なぜですか?
クラフト氏:市長を務めてきたサウスベンド市で起きた警察による黒人男性の射殺事件への対応をめぐり批判されています。
一方、バイデン氏は黒人の支持が高い。これはオバマ大統領のときの副大統領だったからです。バイデン氏については、政策や性格などを支持している人は少ない。
トランプ氏に勝てるかがポイント
民主党の予備選で有権者が何を一番大きなポイントにしているかというと、トランプ氏に勝てるかどうかです。そうすると現時点ではバイデン氏が消去法的に浮上する。中道派で黒人にも支持されているから、反トランプ票の受け皿になれるからです。とりわけ好きではないけれど、トランプ氏に勝てそうだから支持している人が多い。
西野:いろんな候補者の名前が出てきたので、次の疑問です。
民主党 候補者乱立 誰が勝つ?
西野:結局、最後に指名を受けるのは?
クラフト氏:あえて言えば、今のところの勝者はトランプ氏ですね。
山川、西野:?
クラフト氏:なぜかと言うと、このままでは突出して抜け出す候補が現れず、7月の党大会までもつれ込む可能性が高いからです。混戦のままだと、民主党は盛り上がりません。結局、トランプ氏を利することになる。
山川:ギリギリまで決まらないと、本選の準備期間が短くなります。トランプ氏は、スポーツでいうとシード権を与えられたチームみたいに余裕をもって準備できるわけですね。
クラフト氏:そうです。そもそもアメリカの大統領選は、現職が有利という傾向もありますから。
山川:現職は圧倒的に知名度が高い。それに選挙を意識して、この先、経済や株価にとってプラスとなるような政策を掲げることもできます。とりわけトランプ大統領は露骨に選挙を意識した施策を打ち出しそうです。
民主党の候補者レースが混とんとしているのは分かりましたが、その中であえて予想するとしたら、誰が指名を受ける可能性が高いですか。
クラフト氏:今回の民主党予備選が前回と違う点は、スーパーデリゲート(特別代議員)票がカウントされなくなったことです。民主党には、得票数によって振り分けられる誓約代議員と、個人の意志で好きな候補を応援できる特別代議員という2種類の代議員が存在します。
特別代議員になれるのは、民主党の上下両院議員、州知事、正副大統領経験者など、要するにエスタブリッシュメントですね。彼らはそれぞれの州でどの候補が勝とうが、その結果に束縛されることなく自分の好みの候補を支持することができます。
彼らは中道派を支持する傾向があるので、前回はこの票がクリントン氏にいってサンダース氏が負けました。今回はこうした特別代議員は7月の党大会で過半数が出ずに、決選投票となった場合にのみ、投票することになりました。その分だけ、前回よりもサンダース氏のような左派が有利になります。
サンダース氏が勝てるとすれば、同じく左派のウォーレン氏が早めに離脱することが条件でしょう。左派票を集約できますから。
山川:ブティジェッジ氏はいかがですか。勝てるとすれば、どんな展開が考えられますか。
クラフト氏:民主党の歴代大統領を見ると、若い候補者が旋風を巻き起こすパターンが多い。オバマ氏、クリントン氏、カーター氏がそうでした。それに唯一なりうる候補がいるとしたら、ブティジェッジ氏です。まだ風を起こすところまでは来ていませんが、アイオワを僅差であっても制したことで、可能性は出てきました。
山川:この動画や記事を公開した頃には、ニューハンプシャー州の結果も出ているはずです。下馬評では地元に近いサンダース氏が優位とみられていますが、ブティジェッジ氏が追い上げているようです。結果次第では、ブティジェッジ氏に勢いがつく可能性がありますね。
クラフト氏:一方、バイデン氏はここで1位や2位になれなくても、せめてアイオワ州よりも良い結果を出さないと、厳しくなるでしょう。
ブルームバーグ氏はネバダで表舞台に
山川:虎視眈々(たんたん)と狙っている、大手経済メディアの創業者で前ニューヨーク市長のブルームバーグ氏はどうですか。バイデン氏が失速した場合は、中道派の受け皿になる可能性がありますか。
クラフト氏:2月19日にネバダ州の討論会があり、投票が22日です。その頃から出てくるでしょう。
山川:少し古いデータですが、19年12月までの各候補者が投じた資金の収支を示しています。青は収入、赤が支出ですが、ブルームバーグ氏は突出していますね。破格の広告費を投じているようです。
クラフト氏:全候補を合わせても、ブルームバーグ氏にはかなわない。
山川:経済メディアの創業者だから、資金力がある。「不動産王」と呼ばれるトランプ大統領と比べても、比較にならないほどのお金持ちだそうですね。
クラフト氏:これだけ資金を投じれば、ある程度支持率は上がってきます。ただ、まだ指名争いの候補者としては、知名度が足りない。
ネバダ州の討論会でバイデン氏やサンダース氏の横に立ち、ディベートで健闘すれば、有力候補者として躍り出るかもしれません。そこで評判を高めて、3月3日のスーパーチューズデーで勝負というシナリオを描いているはずです。
山川:やはりお金がなければ、勝てない?
クラフト氏:結局、おカネですよ(笑)。残念だけど、アメリカの選挙はおカネがかかります。
西野:おカネの話で言うとブティジェッジ氏。アイオワ州とニューハンプシャー州に集中して資金を投じたといわれていますが、その後は大丈夫なのでしょうか。
クラフト氏:そこがアイオワ州とニューハンプシャー州の重要性なのです。この2つの州で健闘すれば、期待が高まって、献金が集まる。逆に期待外れに終わると、献金の集まり具合が悪くなる。バイデン氏やウォーレン氏は危機感を抱いているはずです。
西野:さて、最後の質問です。
再選は 日本にプラスか マイナスか?
山川:まず、トランプ大統領の再選の可能性をどう見ていますか。
クラフト氏:現段階ですが、可能性は60%。その理由は第1に弾劾裁判に持ち込んだ民主党の失策です。本来であれば、トランプ大統領に対する有権者の憤りのエネルギーは、大統領選にぶつけさせるべきだったのに、弾劾裁判をやったことで、ガス抜きになってしまいました。むしろ共和党は危機感を強め、一つにまとまりました。
第2にアイオワ州の集計ミス。民主党の候補者に勢いがつきませんでした。トランプ大統領は、「アイオワ州の集会すら運営できない党に経済を任せられるのか」とコメントしました。
山川:トランプ大統領はこのときツイッターで「アイオワで大勝利を収めたと言えるのは自分だけだ」とつぶやいていますね。
クラフト氏:確かに、この点については、トランプ大統領の指摘通りです。
そしてトランプ氏が優位と見る第3の理由は、アメリカ経済が好調なことです。今は明らかにトランプ氏に風が吹いている。後はこれを11月まで持続できるかどうかでしょう。
西野:再選して選挙のことを考えなくなったトランプ大統領は、一体どうなるのでしょう。
クラフト氏:本当に何をするか分からない(笑)。
山川:これまでも十分そうだったと思いますが(笑)。
西野:これ以上に予測不可能になる?
クラフト氏:彼をよく知っている人は、今までは再選を意識していたので、これでも抑えられたと。その縛りがなくなったら、本当に何をするか分からない。誰も想像できないと言っています。
山川:その人の再選確率が60%……。
クラフト氏:とはいえ、逆に左派色の強いサンダース氏やウォーレン氏がいいかというと、考え込んでしまいます。基本的には増税を掲げていますから、景気が失速する恐れがある。それぞれ難しいところがあります。
山川:川柳にあった疑問。「日本にプラスか、マイナスか」についてはどうですか。
クラフト氏:どの大統領が日本にとってプラスかというよりも、日本の総理次第ではないでしょうか。
そもそもトランプ氏が、安倍総理と良い関係を築いているのではありません。安倍総理が、トランプ氏と関係を築いているんです。相性もありますが、それ相応に気を使っていますから。
山川:大統領に決まったときに、直接会いに行くのも早かったですよね。
クラフト氏:アメリカの大統領に誰がなろうとも、日本の総理が良い関係を築ける人でなければなりません。
山川:対中国政策はどうですか。トランプ大統領は中国に対しては厳しい姿勢で臨んでいます。ただこの点については、共和党も民主党もなく、今は一枚岩ともいわれます。
安全保障については、トランプ大統領は中東が中心ですけれど、米軍の撤退・縮小を進めようとしています。中東で引かせた分を東アジアに振り向けるのか、それともアジアからも撤退・縮小させる意向なのかは不透明ですが、いずれにせよ日本としては、日米安保を重視してくれる大統領かどうかが気になります。
クラフト氏:ひとつ言えば、過去に「蜜月関係」と言われた日米首脳の組み合わせは、いずれも共和党の大統領のときです。民主党のケースはほとんど記憶にない。
山川:この写真を見ると懐かしいですね。確かにレーガン大統領と中曽根康弘首相の「ロン・ヤス」関係、ブッシュ大統領と小泉純一郎首相の蜜月関係、そして安倍総理とトランプ大統領と、いずれも共和党大統領のときですね。
クラフト氏:共和党は昔からどちらかと言えば親日、民主党は親中です。民主党の大統領が誕生した場合、それが誰であっても、日本とそれほど親密な関係になるとは思えません。
安全保障面では、民主党政権の場合、中国に対してあまり強硬な姿勢はとらないでしょう。オバマ政権が典型です。
山川:ただ、対中強硬論については、民主党の方がむしろ強いという意見もあります。とりわけ自由や人権問題については、民主党のリーダーの方が厳しく臨むのではないでしょうか。
クラフト氏:オバマ政権のときがまさしくそうですが、言葉では人権問題を批判しても、行動は起こさない。トランプ大統領のように中国を動かすために関税をかけるといったことはしないでしょう。
山川:いい悪いは別にして、トランプ大統領のような行動力はないと。
クラフト氏:やり方はめちゃくちゃですが、公約を守ろうとする実行力はさすがです。褒めないといけない(笑)。
上院選が重要なポイント
山川:仮にトランプ大統領が再選したとしても、議会をいずれの党が握るかによって、状況は変わりますね。
現在、下院は民主党が過半数を握っていますが、上院は共和党。ところが大統領選と同時に行われる議会選挙で、上院も民主党が過半数を握ることになると、トランプ氏の掲げる政策がほとんど通らなくなる。このあたりはどう読むべきでしょう。
クラフト氏:これが今、アメリカの専門家の間では、焦点になっているテーマです。トランプ氏にとってみれば、再選できても、上下院とも民主党が握れば、レームダック化してしまう。それに弾劾話が再浮上する可能性もあります。まさに死活問題なのです。
弾劾裁判で大統領を罷免するには、上院の3分の2の賛成が必要です。さすがに民主党が3分の2を握るとは思えませんが、過半数を握れば、再び民主党が蒸し返すことは十分あり得ます。
山川:トランプ大統領としては、自分の再選とともに、何としても上院選で勝利したいわけですね。
クラフト氏:そうです。そこで今、関心を集めているのが、ポンペオ国務長官の動向です。地元のカンザス州から上院選に出馬するかどうかが話題になっています。
山川:トランプ氏が再選しても、必ずしもその先に本人にとって幸せな4年間が待っているとは限らない?
クラフト氏:とにかくトランプ氏が再選した場合、どんな展開になるか、本当に読みにくい。
西野:予測不可能な大統領の方が、クラフトさんみたいなお仕事の人には、質問が増えてよいのでは(笑)。
クラフト氏:いやさすがに、今は聞かれても、誰も正確には見通せないですよ。
ただ、この3年間でアメリカの投資家から日本発の情報について確認されることが増えました。それだけ日米の政府が近いということでしょう。日本の方がトランプ大統領の意向をよく知っていると思われているようです。
山川:安倍総理とトランプ大統領は、電話会談やテタテ会談(通訳のみを交えた1対1の会談)よくしますからね。逆に言うと、トランプ大統領が再選する場合、次の日本の総理も大変ですね。
クラフト氏:安倍総理の4選話も浮上していますが、たとえ安倍さんが引いたとしても何らかの形で政権に加わって支えてほしいという声が出るんじゃないでしょうか。
西野:少なくとも次の総理もゴルフが上手な人でないと(笑)。
山川:ゴルフの腕前は安倍総理よりトランプ大統領の方が少し上だといいますね。ただ、本当にスコアを数えているのかどうか(笑)。
クラフト氏:トランプ氏のハンディキャップからすると、平均的に70台前半で回っていることになります。だとすれば、自身の年齢が73歳ですから、エージシュート(自身の年齢以下の打数でホールアウトすること)を実現していることになる。ちょっと考えにくい(笑)。
山川:おそらく、あのキャラクターですから、大ざっぱであまり正確には数えていないのでは。
クラフト氏:外務省の人に、安倍総理と回ったときの本当のスコアを聞いてみたら、「機密情報だ」といわれました(笑)。
西野:クラフトさん、ありがとうございました。
(注:この記事の一部は、BSテレ東「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の番組放送中のコメントなどを入れて、加筆修正しています)
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