西野:中国で幅広く事業を展開している日本企業への影響はどう考えるべきでしょうか。

永濱氏:ウイルスの発生地である中国湖北省の武漢市は、鉄鋼、自動車、半導体など製造拠点の集積地ですから、影響は大きい。

山川:中国大陸のちょうど中央に位置し、主要都市を縦にも横にも結ぶ、交通や物流の要衝ですね。

永濱氏:現地に工場を稼働させている日本企業は、サプライチェーンを維持するうえで直接、影響を受けます。

 それに、2003年の時に比べて中国の経済構造は、輸出よりも内需、とりわけ消費部分が大きくなっています。消費が低迷することで、中国向けの日本からの輸出が減ることが懸念されます。

 今回は既に様々な銘柄が下落していますが、SARSの頃よりも、消費財などの影響が大きい。

山川:この表を見ると、資生堂や良品計画、ファーストリテイリングなどの下落幅が大きいですね。この3社は、現地でも展開しているし、インバウンド需要でも影響を受けます。まさにダブルパンチなので、影響が大きいのでしょう。

永濱氏:繰り返しになりますが、冒頭の試算は、あくまでも旅行需要に限ったものです。実際には中国経済、貿易、製造、春闘など、様々なところに影響が出てきます。

山川:ここまで暗い話が多かったのですが、何か明るい話はありませんか。

永濱氏:これを明るいと言えるのかどうか……。先週、名古屋に出張して、菓子の貿易会社の社長さんと話す機会があったのですが、最近、韓国向けの受注が増えてきているそうです。

 新型肺炎の問題で、関心が中国に移り、反日感情が和らいだのではないかとおっしゃっていました。もちろん、1企業の話なので、全体の傾向かどうかは分かりませんが。

山川:日本どころの話では無くなったのかもしれませんね。

西野:今日は経済の話を中心に聞きましたが、もちろん新型肺炎については、人命最優先です。一人ひとりがしっかりと予防し、感染を拡大させないことが、大事ですね。

 それが結局、経済を守ることにもつながる。

山川:そう思います。新型肺炎についてはよく「正しく恐れよ」という言葉を使いますが、経済についても同じです。「きちんとリスクを理解したうえで、正しく備える」ことが大事だと思います。

西野:永濱さん、ありがとうございました。

(注:この記事の一部は、BSテレ東「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の番組放送中のコメントなどを入れて、加筆修正しています)

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