西野:さて、これまでは日本経済に与える影響を中心に話をしてきましたが、世界的にみれば、もっと心配なのは、新型肺炎が発生した中国経済です。

 というわけで、最後の川柳です。

パニックに 中国経済 耐えられる?

 せっかく、米中の通商摩擦が緩和され、楽観ムードが漂っていた矢先に、新型肺炎の問題が出てしまいました。タイミングが悪いですね。

永濱氏:そうです。経営指標を見ると、これまで足を引っ張ってきた製造業が、ようやく好転し始めたところでした。

 中国経済についてもSARSの時と同様の前提で試算をしたところ、経済成長率を0.5ポイントくらい押し下げる可能性があります。中国の経済規模は日本の3倍くらいですから、日本円に換算するとGDPで7兆円程度のマイナスになります。

西野:SARSが流行した2003年。問題が浮上する前の1~3月期のGDP成長率は11.1%。それが発覚後の4~6月期は9.1%でしたので、2ポイント程度、成長率を減速させたことになります。

中国の実質成長率5.5%も

山川:グラフを見ると分かる通り、SARSの当時に比べると、中国の成長率は鈍化しています。当時ほどの勢いがない中で、新型肺炎の問題がどう影響するか。今年、中国は6%前後の成長率目標を掲げているわけですが。

永濱氏:SARS並みで収まったとしても、成長率が5.5%までいく可能性があります。ただ、2020年は中国政府が掲げるGDPの倍増計画の最終年なので、意地でも経済を吹かす可能性があります。

 日本と違って中国には金融財政政策の余地があります。社会主義経済なので短期的には力ずくで経済を立て直すことができます。2020年は何とか支えるかもしれませんが、それがかえって、2021年以降に跳ね返ってくるかもしれない。

山川:地方債務や企業債務の問題などを先送りし、バブルを膨らませる可能性があると。

永濱氏:そうです。同じ理由でアメリカ経済も怖い。今回の新型肺炎で世界が予防措置的な金融緩和に舵(かじ)を切る可能性があります。

 実際にアメリカは昨年、予防的利下げを実施しましたが、そこまで経済状況が悪かったわけではありません。利下げし過ぎたのではないかという懸念があります。

 実は1998年のLTCMショック(金融工学を活用したヘッジファンドの倒産)の後に、米連邦準備理事会(FRB)が利下げし過ぎてバブルを生んだケースがありました。今度は新型肺炎が余分な金融緩和を促す懸念があります。

山川:経済規模の大きい米中がともに、新型肺炎を理由にして緩和策に走ることが、むしろその後にツケを残すことになりかねないと。