SARSで株価は1割下落

西野:2020年は米中貿易交渉の一次合意もあり、世界的に株価は上向きでした。新型肺炎の問題で、株価はどこまで影響を受けるでしょう。

永濱氏:SARS の時は、イラク戦争が重なったこともありますが、日経平均がピークから1割強下がりました。仮に同じだとすれば、2万1000円台の半ばまでは覚悟する必要があります。もちろん、今後の展開次第です。

山川:結局、新型肺炎の問題がどこまで長引くかによるところが大きい。一番の楽観シナリオとしては、インフルエンザのような軌道をたどるパターンがあります。

山川:これは直近5年間の東京都内のインフルエンザ患者数の推移です。多くは1月下旬くらいがピークで4月にはおおむね終わっています。今の新型肺炎はまだ増えていますから、さすがにこの楽観シナリオは現実的ではなくなりつつあります。

山川:次はSARSですが、このグラフはインフルエンザのものとは違って、累積数を示したものです。ご覧の通り、4月くらいまでは感染者数が増えていて、5月になると終息の兆しが見えます。そして終息宣言をしたのが7月です。

 新型肺炎も4月くらいまで感染者が増えていると、気になるのが、この先のスケジュールです。

 春には、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の来日の予定があります。現在のところ、変更はありませんが、この先どうなるか。

 そして、やはり先ほどから出ている7月の東京オリンピックが気になりますね。準備もありますので、数カ月前には、実施するか、中止や延期をするか決断しなければならないでしょう。

西野:仮に中止になった場合、どの程度のダメージになるのでしょう?

永濱氏:試算するのはなかなか難しい。ただ、今年の日本経済の唯一の頼みの綱が東京オリンピックと言っていい。私はそれで今年前半の景気は持つと予想してきました。もちろん、現状ではオリンピックは開催される方向で進んでいると思いますが……。

 それに日本はオリンピックのためにインフラを整備してきました。それが使われないと、無駄なインフラを作ったことになってしまい、後に国民負担の問題が浮上するかもしれません。

山川:「中止」のデマが飛び交っていますが、今の段階は実施する方針は揺らいでいません。ただ、春になっても終息の兆しが見えてこないと、そうした話が現実味を帯び、経済やマーケットに影響するのは必至でしょう。

永濱氏:実は昨年から、講演に呼ばれる度に、1929年にアメリカで起きた世界恐慌から第2次大戦までの流れと、2008年のリーマン・ショックから足元までの流れが似ているという話をしてきました。昔だったら戦争をやっていたくらい政治経済の状況が不安定になっているという意味です。

 そして1940年も東京オリンピックの予定があったのですが、世界情勢を鑑みて、日本は返上しました。「今回もオリンピックが開催できるだろうか」と、冗談半分で言っていたのですが、冗談にならなくなってきました。

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