テレビ東京アナウンサー・西野志海と日経ビジネス編集委員・山川龍雄が、世間を騒がせている時事問題をゲストに直撃する動画シリーズ。第26回のテーマは、拡大する新型肺炎「経済的影響は?」。第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣氏は、感染拡大から終息に至るまでの期間が、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の時と同程度であれば、「日本の旅行需要に与える悪影響は5270億円で、SARSの時と変わらない」と試算する。ただ、春闘のタイミングと重なったことで、経営側が賃上げ抑制の材料にすることが予想され、消費増税で低迷していた消費マインドに追い打ちをかけかねないと指摘する。鍵を握るのは、春までに新型肺炎が終息に向かうかどうか。「東京オリンピックの開催が危ぶまれるようなら、景気への影響は深刻」と警告する。

西野志海(日経プラス10サタデー・キャスター、以下、西野):このコンテンツは、BSテレ東で毎週土曜日朝9時から放送している「日経プラス10サタデー ニュースの疑問」の中でお伝えし切れなかった内容を、改めてインターネットの記事や動画でお届けしようというものです。今回のテーマはこちら。

 拡大する新型肺炎「経済的影響は?」

 新型コロナウイルスによる肺炎は、感染者数も死者数も日々増えています。経済に与える影響も気になりますね。

山川龍雄(日経プラス10サタデー・メインキャスター、以下、山川):人命最優先で、この段階で経済の話をするのは不謹慎かもしれませんが、こちらもリスクに備える必要がありそうです。

西野:お話を伺うのは、第一生経済研究所首席エコノミストの永濱利廣さんです。よろしくお願いします。

永濱利廣氏(第一生命経済研究所首席エコノミスト、以下、永濱氏):よろしくお願いします。

<span class="fontBold">永濱利廣(ながはま・としひろ)</span><br>1971年栃木県生まれ。95年早稲田大学理工学部工業経営学科卒業後、第一生命保険入社。2005年3月東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。日本経済研究センター出向を経て第一生命経済研究所経済調査部。16年から現職。跡見学園女子大非常勤講師。著書に『エコノミストの父が、子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話』(ワニ・プラス)、『日本経済 黄金期前夜』(東洋経済新報社)など。
永濱利廣(ながはま・としひろ)
1971年栃木県生まれ。95年早稲田大学理工学部工業経営学科卒業後、第一生命保険入社。2005年3月東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。日本経済研究センター出向を経て第一生命経済研究所経済調査部。16年から現職。跡見学園女子大非常勤講師。著書に『エコノミストの父が、子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話』(ワニ・プラス)、『日本経済 黄金期前夜』(東洋経済新報社)など。

西野:いつも経済リポートを拝読しているのですが、今回も新型肺炎の影響に関する試算をいち早く出されました。

山川:確かに大きなニュースがあると永濱さんが最初にリポートを出す印象があります。いつも早いですよね。

永濱氏:エコノミストを20年くらいやっていると、比較する対象が、蓄積されていきます。今回も重症急性呼吸器症候群(SARS)の時のリポートをベースにしているので、早くできるんですよ。

西野:私なら慎重を期して、他の人のリポートを見てから出したいのですが……(笑)。

永濱氏:こんなときは、最初に出さないと意味がないんですよ(笑)。

山川:最初に出すからこそメディアでも紹介され、注目されるわけですね。

西野:では、まずはこちらの疑問です。