西野:話が人権問題に及びましたので、次の川柳です。

中国は 困った時だけ 急接近?

 通商問題で米中関係が悪化していることに加えて、最近では香港やウイグルなどの人権問題も浮上しました。このタイミングで中国が日本に近づくというのは、批判を和らげたいという思いもあるのでしょうか。

山川:中国は歴史的に見ても、アメリカとの関係が悪化すると、日本に近づくことが多いですね。

佐藤氏:そうです。私が非常に心配しているのは、習主席が来日した際、いきなり現在の天皇陛下の訪中を申し出ないかということです。可能性はゼロではない。

西野:過去にもありましたね。

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佐藤氏:1989年の天安門事件の後です。92年4月に江沢民総書記が来日して天皇陛下の招へいを申し出て、実際に陛下が10月に訪中しました。

山川:天安門事件における人権弾圧が問題になり、日米欧が結束して制裁を科していたときでした。

 中国としては何とかして自分たちのイメージを改善したい。そこで日本に接近し、天皇陛下の訪中につなげた。このあたりの話は、当時の中国側の外務大臣である故・銭其琛氏の回顧録にもつづられています。

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 「日本の天皇がこの時期に訪中したことは、西側の対中制裁を打破するうえで、積極的な作用を発揮した」とあります。当時、意図的に日本に接近していた様子がうかがえます。欧米諸国は当時、世界有数の経済大国だった日本が中国に接近するのを見て、焦りました。結果として、中国に対する圧力が弱まっていった。

 今回も中国は人権問題で厳しい批判にさらされています。そんな中で来日するわけですから、どうしても30年前とのデジャブ(既視感)を覚えてしまう。

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