佐藤氏:日本から申し入れた状況なので……。

西野:そこは変えられないと。

佐藤氏:元首が日本に来るときに国賓として扱うというのは、枠組みとしてはあります。恐らく過去の中国元首の訪日に倣えば、国賓でなければ、習主席は来ないだろうと。

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山川:実際、江沢民主席と胡錦涛主席が来日したときには、国賓として迎えました。中国はメンツを重んじる国です。習主席の性格を考えても、国賓でなければ、現実として来ないでしょう。

佐藤氏:確かにそうかもしれませんが、それは政府の理屈であって、国民からすると、よく分からない。

 実際、フランスのマクロン大統領は国家元首ですが、日本に来たときは国賓ではありませんでした。ローマ教皇(法王)もそうです。「国賓でなければ、日本には来ない」と言われても、国民の胸にはストンと落ちないと思います。

食品・飼料の輸入規制が焦点

西野:では、国賓として来日した後に、中国側の姿勢が変わる可能性はあるのでしょうか。

佐藤氏:来日する前が大事だと思います。来日後の変化を期待しても、何の担保もありませんから。だからこそ今、日本側の問題意識を伝えるのが大事だと思っています。日本側が歓待して勘違いされても困りますので。

山川:4つのトゲの中で、一番、抜きやすそうなのが、東京電力福島第1原発事故後の食品・飼料の輸入規制問題でしょうか。

 日本側は安全性に関する科学的根拠を示しているのに、中国はいまだに新潟県産の米を除く福島、宮城など10都県の食品・飼料の輸入を停止したままです。

佐藤氏:私は地元が福島ですから、この問題には特に心を痛めてきました。外務副大臣だったときも随分と動いた経緯があります。

 この問題における中国の影響は大きい。中国が規制を解除すれば、韓国、香港、台湾にも好影響を与えます。特に今年は東京オリンピック・パラリンピックがある年ですから、春までに解除してくれれば、大きなインパクトがある。

山川:これは期待してよい?

佐藤氏:政府の中でも、ハンドリングしやすい問題だと思います。私も外務省に「ここは押すべきだ」と言っています。

山川:そして、香港やウイグル、チベットなどの人権問題ですね。日本側が昨春に来日を要請した後、急速に国際問題として浮上しました。

佐藤氏:ここは言い続けるしかない。中国政府は「国内問題」であり、「内政干渉だ」と言っていますが、人権は国際問題ですよ。

 我々も北朝鮮による拉致問題を抱えています。人権問題については国連やその他の国際会議の場でも、声を上げ続けなければならない。