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西野:公賓は外務省が取り仕切りますが、国賓は宮内庁。歓迎行事や宮中晩さん会もありますね。

佐藤氏:実際にトランプ米大統領が来たときに私も参列しましたが、陸上自衛隊の中央音楽隊のフルメンバーが日本国国歌、そしてアメリカの国歌を演奏します。今度は中国の国歌を演奏するんですよ。儀仗隊が並んで、天皇陛下が習主席を案内する。

山川:公賓とは扱いが相当違うんですね。

佐藤氏:安倍首相は参列のメインではありません。いる場所は端っこですから。それくらい行事的には重たい。

 尖閣で自衛隊が24時間向き合っているにもかかわらず、儀仗隊が歓迎しなければならない。これは防衛大臣としても心穏やかではないでしょう。日本の主権にも関わりますから、4つのトゲの中でも、最初に言及しておかなければならない問題です。

山川:河野大臣の発言は総理と擦り合わせたうえで、役割分担として話したのでしょうか。それとも河野氏自身の判断?

佐藤氏:恐らく自分の判断でしょう。いつもスピーチは行きの飛行機の中で、かなり手を入れていますから。

 ただ、安倍首相も2019年12月の日中韓サミットで習主席に会ったときには、人権問題だけではなく、尖閣の問題についても、直接、懸念を伝えています。

 今回、河野大臣がアメリカで、英語で発言したことには意味がありました。ワシントンにある中国大使館が緊急電報のような形で北京に伝えたはずです。

山川:日本が抱いている危機感を、あらゆる手段を用いて、中国政府に伝えていくことが大事だと。

佐藤氏:そうです。私が4つのトゲを繰り返し強調しているのもそのためです。よくグッドコップ、バッドコップ(良い警察官、悪い警察官)と言いますが、誰かが悪い警官にならないと、外交はうまくいきません。

 安倍首相が「下からの突き上げがあるが、何とか習主席の来日を成功させたいので、これくらいの条件はのんでほしい」と交渉できる環境を整えるのが大事だと思っています。

 「言論NPO」による世論調査では、中国に良くない印象を持つ日本国民は85%に上ります。そんな状況下で、天皇陛下の来客として迎えようとしているのです。少しでも国民が歓迎できる環境にもっていかなければなりません。

山川:春までにはまだ時間があります。尖閣だけでなく、日本人が拘束されている問題なども前進してほしいですね。

佐藤氏:そうです。ここ数年で15人が捕まり、うち5人は帰国しましたが、まだ10人が拘束されています。しかも彼らの拘束や判決の理由は明らかにされていません。

 これは基本的人権の観点から言ってもおかしいですよ。日本の外交の基本方針は、自由や基本的人権の尊重、法の支配です。これらの価値を共有する国家との関係を強化しようとしている。にもかかわらず、中国は日本人を拘束し、その理由を明らかにしない。これは異常なことです。

西野:国賓として招く話が出た後も、中国側の態度は変わっていないんですか。

佐藤氏:というよりも、逆に悪化している。

西野:それなら、どうして国賓として招くことをやめないのですか。

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