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ハメネイ師に逆らえる人はいない

黒井氏:基本的にハメネイ師の意向に逆らうことは誰もできません。

 実はイランの戦略の決め方はかなりきちんとしていて、国家安全保障会議という場があって、12人のメンバーがそこで最終的に決めています。

 出席者の半分は軍関係と宗教指導者、つまりハメネイ師の代理を務める人たち。残り半分はロウハニ大統領が任命する閣僚です。ただ、そこで主導権を握っているのはハメネイ派です。

 ただ、ハメネイ師が全てを指揮しているわけではなく、ある程度は革命防衛隊に「良きに計らえ」と任せているところがあります。革命防衛隊が自分たちとは名乗らずに実行するテロは今後も続くでしょう。例えばタンカーに機雷を仕掛けるというのは、ハメネイ師にいちいちお伺いを立てなくてもやってしまう。

 ただ、米軍の飛行機を撃ち落とすということであれば、会議の場で話し合い、ハメネイ師の承認を得ることになる。そこにはブレーキがかかると思います。

山川:先ほどから出ている三日月地帯の民兵組織が報復に出る可能性は?

黒井氏:三日月地帯の中でも、イラクからシリア、レバノンを通るルート、ここに関しては今、イランは押せ押せの状態です。ISがほぼ弱体化しましたから、その間隙を突いて、イランは勢力圏を広げている。シリアでは革命防衛隊の基地などもかなりつくっています。

 イラクは議会の多数を親イラン派が占めています。民兵組織もイランが仕切っていて、イラクの国会が民兵組織を国の正式機関に認めてしまっています。トランプ大統領はイラクから米軍を引き揚げたいのですが、国防当局がイランを警戒しているので、そうもいかなくなっている。

 中長期的には、この地域は、アメリカよりもイランの影響力がさらに強まるでしょう。そうなると現地では人権侵害を伴った殺りくが増えていくことが危惧されます。

西野:アメリカの話が出ましたので、次の川柳です。

トランプ氏 イランとプロレス やっている?

 先ほどから出ているように、アメリカとイランは本音では戦争をしたくない。だから、最初から軍事衝突を避けるためのシナリオがあって、その枠内で動いているという見方もありますが……。

黒井氏:トランプ大統領とイランが、話をつけているというのは完全に陰謀論だと思います。

山川:そうではない?