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“モノ”中心から“人”中心の組織

自分たちの将来にも深く関わることを自覚しないといけない、と。

白河:もっと言えば、会社のために“個”を消して尽くしてきた自分たちも、本当は一人ひとりの多様な個人なのだと見つめ直してほしいと思います。

 ズラッと男性ばかりが並んでいる会社は、一見、モノカルチャーの非ダイバーシティ組織に見えますよね。けれど本当は、それぞれみなさんが、異なる事情を抱えながらそこにいるはずです。ただ、これまではそれを表に出していなかった。

 企業の成長戦略でも、戦後の高度経済成長期には、同じ時間で同じように働けるメンバーを集めて、生産ラインに人間を組み込むような、“モノ”中心の均質化した組織を目指すのが正攻法とされてきました。けれど、少子高齢化や人口減で、職場のダイバーシティが進みつつある今は、その手法はもう成り立ちません。

 結果として、ようやく“人”中心の組織づくりが促進されようとしているのは、とてもいいことだと私は思います。

 最初はハレーションも起きますし、「例外対応ばかりで困る」と現場は混乱するでしょう。カネカの例がまさにそうですね。個別に対応していたらきりがないと「昭和の当たり前」を押し通そうとしたから、炎上してしまったのです。

 けれど、上に立つ人が自分の中の“個”に気づいて、それを大事にすることができれば、部下の“個”も尊重できるはずです。

 「職場の中で“個”を捨てて貢献すれば、様々な特権が手に入った」というある種の成功体験が、無自覚にセクハラやパワハラをよしとする価値観を生んできたのだと思います。

 「自分が組織に優しくされなかったから、下の世代にも優しくできない」というメンタリティーと同じ構造で、ハラスメントが繰り返されてきたのだと思います。その負の連鎖を断ち切ろうとする議論が盛り上がっていることには、とても希望を感じています。