全4065文字

あなたの言動がパワハラに当たる?

それほどの変化を生んだ転機は何だったのでしょうか。

白河:きっかけは、10年前のリーマン・ショックです。あの金融危機で業界全体の信用がガタ落ちし、そこから立て直していく過程で、厳しくコンプライアンスが問われるようになりました。目先の利益を取ろうとする優先主義でなく、持続可能な業界を目指そうという動きが急速に進んだのです。

 さらにここ数年で、世界的にESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資のことで、日本では2割弱がESG投資。そんな中でも女性活躍に特化して行うジェンダー投資もあり、その場合、会社のハラスメント指針の有無なども投資判断の非財務情報として重視される)や「SDGs(持続可能な開発目標)」が叫ばれるようになっています。

 SDGsのゴール5は「あらゆる場所におけるすべての女性および女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する」ことや、女性や女子に対する「あらゆる形態の暴力を排除する」となっています。お金の流れと密接に関わる業界から自分たちも変わろうと、敏感に反応しているのではないでしょうか。

連載3回目では、これからは「パワハラ」への対策をより強化すべきだというお話がありました。何をどう気をつけたらいいのでしょうか。

白河:まず、何がパワハラに当たるのかを具体的にイメージすることが、第一歩になると思います。厚生労働省では、「パワハラにつながる行為」として次のような6つのパターンを挙げています。

■職場のパワーハラスメントの6類型

  • 1)身体的な攻撃→暴行・傷害
  • 2)精神的な攻撃→脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
  • 3)人間関係からの切り離し→隔離・仲間外し・無視
  • 4)過大な要求→業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
  • 5)過小な要求→業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
  • 6)個の侵害→私的なことに過度に立ち入ること

一度は思い当たることをしてしまった、というビジネスパーソンもいそうですね。

白河:そうですね。アップデートが必要です。ただ、今後、この流れが逆戻りすることはありません。上司としてのコミュニケーション術を、根本的に変えていかねばならないと考えるしかありませんね。