飛信隊とソラコムの共通点

玉川:ソラコムも、小さな規模からスタートしているので、コアなメンバーの人間関係は結構、緊密なんです。だからこそ仲間についてのエピソードが響いたんです。

 自分1人で趣味に没頭しようと思えばいつでもできます。けれど仕事って、1人では実現し得ないようなことをチームで実践して結果を出すものですよね。それが大変でもあるし、逆に成功すれば楽しみにもなる。そんな感覚を、僕はとても重視していますから。

 あと最近、『キングダム』について起業家仲間たちと盛り上がるのが、「オレらはこれだけ頑張ってきたけれど、まだ百人将にもなっていない」という話題です。もちろんメンバーの人数と会社の規模感とは必ずしも一致しません。ただそれでも、ソラコムはグローバル社員を入れてもまだ80人強ぐらい(2019年10月時点)。まだ百人将にもなれていないんです(笑)。

 一方、『キングダム』の世界で将軍は1万人の兵を、大将軍は10万人の兵を率いますよね。これは結構ピンとくる数字です。例えばトヨタ自動車の連結従業員数はおよそ37万人。圧倒的な大将軍ですよね。アマゾンだって、もともとはジェフ・ベゾスが1990年に1人で始めたけれど、あっという間にもう大将軍になりました。そう考えると、信が抱く夢が相当すごいと分かります。それくらい、挑戦的な目標を掲げているんだなと感心しました。

『キングダム』から経営のエッセンスなどを学ぶこともありますか。

玉川:チームづくりという観点でも、すごく面白いですね。この連載でも皆さんが指摘していますが、信の率いる「飛信隊(ひしんたい)」はまさにスタートアップそのものです。

 飛信隊は、百人将になるときに旗を渡されましたよね。今の飛信隊は最大8000人のチームで、部隊は見方を変えるとたくさんの百人将の集まりとも言える。けれど、誰も独自の旗を掲げていなくて、全員が飛信隊の旗を持っています。つまり、飛信隊の中にいる百人将たちは飛信隊の一部なのだけれど、信が率いる飛信隊は、大将軍の王騎に名前を与えられたときから、どの将軍の下で戦っていても飛信隊という独自の存在だったわけです。これがスタートアップに似ていると思うんです。

©原 泰久/集英社
©原 泰久/集英社

 スタートアップは、部隊が小さくても独自のカルチャーやビジョンがあって、リーダーが自分でチームを運営して戦っています。僕たちソラコムも、2017年にKDDIグループに加わりました。現状は、連結従業員数がおよそ4万人になる高橋誠社長という将軍の下にいるけれど、それでも独自のカルチャーを持っています。そこも飛信隊に共感を覚えるポイントです。きっと世の中のスタートアップ経営者も理解できるのではないでしょうか。

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