『史記』読者だから分かる作者の情熱

飛信隊の質的変化が、スタートアップの成長にも通じる。非常に面白い視点ですね。ところで柴山さんは、子供の頃から『キングダム』のベースになっている中国の古典『史記』などを愛読していたと聞きました。
柴山:『史記』は、小学校のときに読んでいたんです。たしか小学校の図書館にあって、あまりにも面白くて、10歳の頃から何度も繰り返し読んでいました。ですから今、『キングダム』がブームになって、共感して感想を語り合える仲間が現れたような気持ちでとてもうれしいです。
『三国志演義』や『水滸伝』などももちろん読んでいます。燃え上がるようなストーリーテリングがとても面白いですよね。ただ、これらは物語です。それに対して『史記』は、本当の歴史書として書かれているものです。それも、『史記』そのものは、始皇帝からさらに1000年以上も前の聖王たちの時代から始まって、始皇帝が亡くなった後、100年くらい続いているものです。そして書いた人は、始皇帝暗殺未遂事件の現場に居合わせた人から直接話を聞いた人にインタビューをしているはずです。書いた人の情熱、怨念などが込められていて最高に面白いんです。
ただそれでも私は小学生の頃、合従軍との蕞(さい)の戦いの部分などを、読み飛ばしていました。『キングダム』ではそこを、かなりの熱量で描いていて、始皇帝の兵馬俑のあたりでの戦いだと知って心底驚きました。
作者の原泰久先生がどれほど『史記』を読み込んでいるのかが、推し量られて、心から感動しました。

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