信が王騎から受け継いだもの

主人公の信に共感するとおっしゃいましたが、ほかに印象に残るシーンはありますか。

工藤:僕が最も心を打たれたのは、大将軍の王騎(おうき)が信に、自分の武器である矛を渡すシーンです。

 王騎がなぜ信に矛を託したのか。

 王騎はきっと、自分が嬴政の曽祖父である昭王(しょうおう)に仕えていたのと同じような忠誠心で、信にも嬴政に仕えてもらいたいと思ったのではないでしょうか。そして昭王が戦争に明け暮れた人生の中で実現することのできなかった中華統一の夢を、嬴政の時代に、信たちの支えによって実現してもらいたい。そう願ったのだと思います。

 つまり王騎は昭王の思いを嬴政と信につないだ。

 王騎にとっての信のように、「自分の意志を継ぐ人」の存在を見つけることが、経営者にとっていかに大切かということを、このシーンから感じることができました。たとえ自分がいなくなっても、その意志を後世に残してくれる存在をつくること。

 きっと実際の世界でも、後世に残る大きな取り組みというのは、数世代にわたって思いをバトンタッチしてきたのだと思うんです。東京タワーしかり、新幹線しかり。そして僕もecboのメンバーに、自分の考えを継承して、社会課題を解決するような人材を輩出していきたいと考えています。

 経営者の仕事とは、世の中にある課題を真っ先に見つけて、解決策を考え、実現することです。企業を成長させ、社会的インパクトを高めて、より大きな規模で課題を解決していく。そのためにもやっぱり、課題を解決できる人材を育てる必要があるんです。

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