追い詰められてから本領を発揮するチーム

三浦:兵が次々に倒れ、主人公の信も、彼が率いる部隊の「飛信隊(ひしんたい)」も、もうボロボロの状態に追い込まれている。それなのに信は、飛信隊の兵たちに向かって、こう檄を飛ばすんです。

 「ようやく俺達が本領を発揮できる時が来たぞ!!」
 「俺達はっ圧倒的不利な状況でこそ力を発揮する部隊だ!」
 「見ろ 城壁に敵が満ちてやっと本気で戦えるぞ」

 これは、僕らの会社、GOの立ち位置そのものなんです。

 僕たちGOに相談してくるのは、大手の広告会社やコンサルティングファームに相談しても、満足いく答えが出なかった人たちです。潤沢な予算があって、コンビニや大手スーパーの店頭にどんと棚が取れるのであれば、分かりやすいテレビCMを打つだけでも商品は売れるかもしれません。

 けれど、GOを訪ねてくるのは、テクノロジーが新しすぎて誰にも理解されなかったり、予算やお金、あるいは社会の理解が足りなくて追い詰められていたりするなど、何らかの課題のある仕事ばかりなんです。

 だから、彼らが追い詰められたところが僕たちの仕事のスタート地点になる。逆に言うと追い詰められてから、僕たちは本領を発揮するチームなんです。まさに蕞の攻防戦こそ、僕たちの普段の仕事そのものなんです。

 力を尽くしても何も生まれない、ということは絶対にあり得ません。あらゆる局面でも選択肢は無限にあるわけですから。

 ただ、そこにたどり着くまでに、時間が尽きるか、お金が尽きるか、あるいはモチベーションが尽きるか。限られたリソースの中で僕たちも戦っています。それをひっくり返すのがチームの力とクリエイティブの力なんです。

 普通に戦えば負けることばかりです。逆転勝利を収めるからこそ、みんなにほめられるし、自分たちも気持ちがいい。そんなふうに逆境を楽しめるのが、GOのカルチャーであり、強みです。

 ピンチはもちろん辛い。けれどピンチの時にこそ本領を発揮できるチームは確実に存在します。どんなに厳しい状況でも、視点を変えれば長所は見える。ピンチの最中で、クリエイティブの力で針の穴に1本の糸を通すような可能性を見つけるのが、僕らは楽しいんです。

 そして、インタビューの前編でもお話した通り、『キングダム』をビジネス書として働く人に読んでもらおうと考え、表紙を変えようと考えたのも、その一例と言えるでしょう。

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