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お調子者の側近、オギコの役割とは

乃村:僕にとって桓騎は、まるでマーケティングにたけたワンマン経営者のように映っています。

 桓騎軍が強いのは、彼のマーケティング戦略が、兵たちからも信頼されているからです。「どんな逆境に追い詰められても、うちの将軍は必ず、斜め上の打ち手を繰り広げてくれる」。兵たちがそう信じているからこそ、桓騎軍は、戦意を保っているのでしょう。

桓騎軍を支える副将たちもユニークですよね。特に個性的なのはオギコです。お調子者で天然ボケのキャラクターですが、オギコは千人将として兵も率いています。桓騎軍で、オギコはどんな役割を果たしているのでしょう。

乃村:オギコは、ひたすら桓騎をほめますよね。人間心理の裏を突いたユニークな打ち手を思いつくために最も重要なことは、常に自分自身が、ワクワクとした気持ちでいることです。なぜなら、奇策を思いついた本人が、自分の打ち手を疑ってしまえば、戦略はそれで終わってしまうから。

 その点、オギコは桓騎のテンションを高めるために一役買っている。

 会社を経営していると、時に自分の打ち手を疑いそうになることがあるんです。失敗や不発が続くと、周りのスタッフは「どこに、そんな予算があるんですか」「それは今やるべきですか」といった正論をどんどんとぶつけてきます。こうした言葉に自信を失い、つい自分でも自由な発想を疑ってしまうことがあるんですね。

 そして、マーケティングにたけたワンマン経営者は、自由奔放な策の出口を塞がれた瞬間に、何の能力も発揮できなくなる。ただでさえ協調性がなくて、普通のことができないわけですから(笑)。

 自分の思いついた策にワクワクできるよう、「うちのボス天才だ!」とひたすらテンションを上げてくれる存在は、実は大きいんです。

 それも桓騎が立派なのは、テンションを上げる存在としてオギコを配置するのと同時に、知性にすぐれる摩論(まろん)のような参謀も置いている。

 冷静に策を練って実践する摩論がいて、テンションを高めるオギコがいて……と適材適所を実践するから桓騎軍は強いんでしょうね。

 きっと桓騎が苦手なのは、自分と同じような奇想天外な手を打ってくる将軍なのだと思います。正攻法で向かってくる敵なら裏をかけばいいでしょう。けれど、同類のイノベーティブなマーケター同士が、アイデア勝負でぶつかるとつらいのだろうな、と推察します。