桓騎は、人間の「思い込み」の裏をかく
乃村:例えば『キングダム』で、初めて将軍の桓騎が登場したシーンを覚えている人は、多いのではないでしょうか。
その頃の桓騎はまだ副将でしたが、ある戦争で、敵のよろいを着て、敵の旗を持ち、怪しまれることなく敵兵の本陣に乗り込んで、将軍をいとも簡単に仕留めていった。

戦争とは人間と人間の殺し合いで、もしかしたらルールなどあってないようなものなのかもしれません。
けれど人間は次のように勝手に思い込んでいるのかもしれませんよね。「秦国の兵は、秦国のよろいを着ているに違いない」「秦国の兵が、自分たちの陣の中にいるわけがない」と。
桓騎は、そういった人間の思い込みの裏をかいたわけです。これこそ、マーケティングの神髄でしょう。
もちろん今の時代に、桓騎の手法をそのまままねして、ライバル会社の社員を装い、オフィスに忍び込むことはできません(笑)。けれど人間の思い込みを利用するという姿勢からは、多くの学びが得られます。
桓騎が具体的にどんな手を打ったかということよりも、人間のどんな原理原則の裏を突いたのか。それを、『キングダム』を通して読み解くのが面白いんです。
ほかにも桓騎の視点に驚かされるエピソードには枚挙にいとまがありません。
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