飛信隊に学ぶ「チームの成長ステージ」の活用法

リーダーの凸と凹が明瞭で、心理的安全性が確保されているチームが飛信隊である、と。

仲山:僕はチームビルディングを語る時、いつもこの図を活用しています。「チームの成長ステージ」です。

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仲山:「フォーミング(同調期)」は、みんなバラバラの「グループ」の状態です。コミュニケーションの量を増やしながら相互理解を進めていくことで心理的安全性が高まると、本音の意見を言い合えるようになります。それが「ストーミング(混沌期)」です。

 異なる意見をすり合わせながら試行錯誤し、成功体験を積んでいくと「自分たちのルール」ができていって「チーム」らしくなります。これが「ノーミング(調和期)」です。メンバー間で互いの凸凹を生かした役割分担が生まれ、共通言語もつくられていきます。さらなる高みを目指して「トランスフォーミング(変態期)」に突入すれば、チームはあたかも1つの生き物のように機能します。こうして最強のチームが出来上がるわけです。

 興味深いのが、主人公の信が率いる飛信隊は、時間がある時とない時で組織のつくり方を変えているんです。

 例えば徴兵したばかりの時、兵の頭数は1000人いるけれど、まだまだ烏合(うごう)の衆(フォーミングのグループ)でしかない。こんな時、リーダーが「みんな、どうしたらいいと思う?」「自分たちで考えてごらん」なんて言ってもろくなことにはなりません。だから、上からの指示命令できちんと動ける組織にします。

 一方で時間がある時は、きちんとストーミング(混沌期)を乗り越えて、メンバーが互いに何を考えているか、強みと弱みは何なのかを理解し合おうとする。そんなチームを、飛信隊はつくろうとしています。

 また、飛信隊に別部隊が合流して戦うことになったシーンでは、時間がないため、「俺たち頭悪いから、おまえたちの言っていることがよく分からないので」と、一体にしようとせず、別々に動く選択をします。それぞれの部隊がノーミング(調和期)に達していても、2つの部隊を合わせると全体としてはフォーミング(同調期)に戻ってしまうことを理解しているのです。

ほかの将軍のチームのつくり方とは違うのでしょうか。

仲山:いわゆる「引っ張るリーダー」は、時間の有無にかかわらず、自分で考えたことを指示し、その通りに動く組織をつくろうとします。すなわち、フォーミング(同調期)で満点を取りに行くやり方です。

 ただ、それだと「自分より優秀なリーダーが率いる相手」と戦った時に、必ず負けることになります。ジャイアントキリング、つまり格下が格上に勝つ「大金星」は起こらないんです。フォーミングの組織同士が戦えば、単純にリーダーが優秀な方が勝つ。

 そして、リーダーである将軍が倒された側は、よりどころをなくして、総崩れします。リーダー依存型のフォーミング組織であることの証しです。『キングダム』にはそういうシーンも描かれています。

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