三木谷さんは、王騎だったのかもしれない

仲山:王騎が与えるお題というのは、信が武将として質的に成長しなければ達成できないレベルの難易度になっています。ただ、一気に2ランクアップはできないので、必ず現状よりも1ランク上の難易度のお題が与えられている。

 つまり王騎は、信が1つ上のステージに成長するにはどんな難易度のお題を与えればいいのかをきちんと理解し、その上で、谷底に突き落としたり、将軍の首を取りに行かせたりしているわけです。

 王騎は、人を育てるのがとにかくうまい。最も象徴的なのは、王騎が信を自分と一緒に馬に乗せた名シーンですよね。

©原 泰久/集英社
©原 泰久/集英社

仲山:「これが将軍の見る景色です」と王騎は語り、信に将軍の視座と視点を体験させてあげた。信にとって王騎は一番のメンターだと思いますが、いかに絶妙に信を育てているのかがよく分かります。

 お題を丸投げにしない。必ず視点と意味を与えること。難易度をチューニングすること。僕が(楽天創業者の)三木谷さんからもらった、「楽天大学を立ち上げて」「楽天大学の本を出版して」といったお題の数々は、振り返れば、王騎のような感じだったかもしれません。やる側からすると、どれもめちゃくちゃハードでしたけど(笑)。

リーダーの「話し方」についても学びがあるそうですね。

仲山:「話し方」についてはいくつもの名シーンがあります。この戦いにはどんな意味があるのか、将軍が部隊に伝えるシーンはどれも印象的ですよね。

 僕は自著『組織にいながら、自由に働く。』で、仕事とは「作業×意味」だと書いています。リーダーが目の前の作業の意味を伝えて、「おおお!そんなに大事な意味があるのなら」とメンバーの奮起を促すこと。その「意味を与えるコミュニケーション」の重要性と方法を『キングダム』は教えてくれます。

 具体的なシーンは、おそらくこのあと登場する方々が挙げてくれると思いますので、お楽しみにしておきましょう。

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