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 2つ目は韓国の日刊紙・韓国日報の「貧困ビジネス」に関する報道です。極めて狭いアパートが並ぶ建物一帯の登記簿をすべて入手して所有者を割り出したうえで、貧困層向けに法外な値段で部屋が貸し出されている実態を明らかにし、その結果を連載記事にしました。記事は国をも動かし、国土交通部が対策に乗り出すほどの反響を得ました。

 ちなみに、これらの報道は19年11月22日に韓国・ソウルで開催された「KOREA DATA JOURNALISM AWARDS」で、「データによる調査報道賞」を受賞しています。NHK BS1の「国際報道2019」で特集として取り上げられ、その内容が「データジャーナリズムは、メディアを救うか」という記事として掲載されています。詳細を知りたい方はご覧ください。

「KOREA DATA JOURNALISM AWARDS」のホームページ

 データを活用した真実の追求は、優れた功績を残したジャーナリストに贈られるピュリッツァー賞の受賞報道でも近年成果を上げています。

 17年には公共サービス部門で、New York Daily NewsとProPublicaが貧しい人々を街から追い払うために警察が立ち退きルールを乱用したことを、データを使いつつ、記事や映像、グラフィックスなどを駆使して明らかにしています。(ピュリッツァー賞の紹介ページ

 18年には国際報道部門で、ロイターの記者らがフィリピンのドゥテルテ大統領による「麻薬戦争」の陰で、国家ぐるみの大規模な殺りくがあったと、データを使いつつ明らかにしています。(ピュリッツァー賞の紹介ページ

 通常の報道と違い、データを使って分かりやすく可視化したり、見えない関係性をあぶり出したりしています。データから新しい事実を掘り起こし、明らかにしているのです。

ピュリッツァー賞を受賞したフィリピンのドゥテルテ大統領による「麻薬戦争」報道はデータジャーナリズムのアワードの1つ「SOPA Awards」も受賞している