公的統計データなどを基に語られる“事実”は、うのみにしてよいのか? 一般に“常識”と思われていることは、本当に正しいのか? 気鋭のデータサイエンティストがそうした視点で統計データを分析・検証する。結論として示される数字だけではなく、その数字がどのように算出されたかに目を向けて、真実を明らかにしていく。
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 2020年を振り返って「もっとも大きな変化は何だったか?」を自らに問えば、新型コロナウイルス感染予防のために行動を制限されたことであり、その代表例としてのテレワークを挙げたいと思います。以前からIT業界ではテレワークが浸透していましたが、「withコロナ時代の働き方」として様々な業種に広がりをみせました。

 私の場合、緊急事態宣言が発令中の4~5月は毎日がテレワークでしたが、感染がいったん収束するにつれて出社の回数が増えました。第3波を迎えて、再び出社回数は減少したものの、それでも週のうち数日は出勤しています。

 出勤している理由として、①飼っている犬がうるさい、②自宅で長時間仕事ができる環境が整っていない、③通勤で切り替えていたメンタルのON/OFFができなくなり、24時間仕事をしている気分で常に緊張状態となる、④日中誰とも会話しないと気分がめいる、⑤会議ラッシュなので、自宅で座り続けて会議をこなすのは身体的につらいなど、挙げればキリがありません。

 出勤する際は感染防止対策として、もちろんマスクを着用し、ラッシュ時間は避け、ガラガラの電車の中では換気対策として開いた窓の前に立つなど密は避けるようにしています。ただ、このまま東京で新規感染者数が増え続けるようならば、再び毎日がリモートワークにならざるをえないでしょう。仕方ないですが、そうなると、正直言って憂鬱です。

 そもそも、リモートワークは「個人の生産性が上がる」という触れ込みだったはずです。しかし私は一向にそうは感じません。このギャップはどこにあるのでしょうか?

テレワークで生産性、QOL、仕事満足度は上がった?

 内閣府の平成30年度年次経済財政報告の第2章「人生100年時代の人材と働き方」や、総務省の令和元年版情報通信白書「テレワークの導入やその効果に関する調査結果」において、テレワーク導入のメリットが語られています。

 1つ目のメリットは「生産性向上」です。テレワーク単体、テレワークと長時間労働是正の組み合わせ、テレワークとフレックス勤務の組み合わせで、労働生産性が有意に向上しているというのです。ちなみに、ここでいう労働生産性とは「付加価値額÷正社員数(常用雇用者数)」で求めたものです。

柔軟な働き方・ワークライフバランスの取り組みが生産性に与える効果
内閣府、平成30年度年次経済財政報告 第2章「人生100年時代の人材と働き方
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